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ロマ書
🔝
〘302㌻〙
第1章
1
キリスト・イエスの
僕
しもべ
、
召
め
されて
使徒
しと
となり、
神
かみ
の
福音󠄃
ふくいん
のために
選󠄄
えら
び
別
わか
たれたるパウロ――
2
この
福音󠄃
ふくいん
は
神
かみ
その
預言者
よげんしゃ
たちにより、
聖󠄄書
せいしょ
の
中
うち
に
預
あらか
じめ
御子
みこ
に
就
つ
きて
約
やく
し
給
たま
ひしものなり。
3
御子
みこ
は
肉
にく
によれば、ダビデの
裔
すゑ
より
生
うま
れ、
4
潔󠄄
きよ
き
靈
れい
によれば、
死人
しにん
の
復活
よみがへり
により
大能
たいのう
をもて
神
かみ
の
子
こ
と
定
さだ
められ
給
たま
へり、
即
すなは
ち
我
われ
らの
主
しゅ
イエス・キリストなり。
5
我等
われら
その
御名
みな
の
爲
ため
にもろもろの
國人
くにびと
を
信仰
しんかう
に
從順
じゅうじゅん
ならしめんとて、
彼
かれ
より
恩惠
めぐみ
と
使徒
しと
の
職
つとめ
とを
受
う
けたり。
6
汝
なんぢ
等
ら
もその
中
うち
にありてイエス・キリストの
有
もの
とならん
爲
ため
に
召
め
されたるなり――
7
われ
書
ふみ
をロマに
在
あ
りて
神
かみ
に
愛
あい
せられ、
召
め
されて
聖󠄄徒
せいと
となりたる
凡
すべ
ての
者
もの
に
贈
おく
る。
願
ねがは
くは
我
われ
らの
父󠄃
ちち
なる
神
かみ
および
主
しゅ
イエス・キリストより
賜
たま
ふ
恩惠
めぐみ
と
平󠄃安
へいあん
と
汝
なんぢ
らに
在
あ
らんことを。
8
汝
なんぢ
らの
信仰
しんかう
、
全󠄃世界
ぜんせかい
に
言
い
ひ
傳
つた
へられたれば、
我
われ
まづ
汝
なんぢ
ら
一同
いちどう
の
爲
ため
にイエス・キリストによりて
我
わ
が
神
かみ
に
感謝
かんしゃ
す。
9
その
御子
みこ
の
福音󠄃
ふくいん
に
於
おい
て
我
わ
が
靈
れい
をもて
事
つか
ふる
神
かみ
は、わが
絕
た
えず
祈
いのり
のうちに
汝
なんぢ
らを
覺
おぼ
え、
10
如何
いか
にしてか
御意󠄃
みこゝろ
に
適󠄄
かな
ひ、いつか
汝
なんぢ
らに
到
いた
るべき
途󠄃
みち
を
得
え
んと、
常
つね
に
冀
こひね
がふことを
我
わ
がために
證
あかし
し
給
たま
ふなり。
11
われ
汝
なんぢ
らを
見
み
んことを
切
せつ
に
望󠄇
のぞ
むは、
汝
なんぢ
らの
堅
かた
うせられん
爲
ため
に
靈
れい
の
賜物
たまもの
を
分󠄃
わ
け
與
あた
へんとてなり。
12
即
すなは
ち
我
われ
なんぢらの
中
うち
にありて
互
たがひ
の
信仰
しんかう
により
相
あひ
共
とも
に
慰
なぐさ
められん
爲
ため
なり。
302㌻
13
兄弟
きゃうだい
よ、
我
われ
ほかの
異邦人
いはうじん
の
中
うち
より
得
え
しごとく
汝
なんぢ
らの
中
うち
よりも
實
み
を
得
え
んとて
屡次
しばしば
なんぢらに
徃
ゆ
かんとしたれど、
今
いま
に
至
いた
りてなほ
妨
さまた
げらる、
此
こ
の
事
こと
を
汝
なんぢ
らの
知
し
らざるを
欲
ほっ
せず。
14
我
われ
はギリシヤ
人
びと
にも
夷人
えびす
にも
智
かしこ
き
者
もの
にも
愚
おろか
なる
者
もの
にも
負󠄅債
おひめ
あり。
15
この
故
ゆゑ
に
我
われ
はロマに
在
あ
る
汝
なんぢ
らにも
福音󠄃
ふくいん
を
宣傳
のべつた
へんことを
頻
しき
りに
願
ねが
ふなり。
16
我
われ
は
福音󠄃
ふくいん
を
恥
はぢ
とせず、この
福音󠄃
ふくいん
はユダヤ
人
びと
を
始
はじ
めギリシヤ
人
びと
にも、
凡
すべ
て
信
しん
ずる
者
もの
に
救
すくひ
を
得
え
さする
神
かみ
の
力
ちから
たればなり。
17
神
かみ
の
義
ぎ
はその
福音󠄃
ふくいん
のうちに
顯
あらは
れ、
信仰
しんかう
より
出
い
でて
信仰
しんかう
に
進󠄃
すゝ
ましむ。
錄
しる
して『
義人
ぎじん
は
信仰
しんかう
によりて
生
い
くべし』とある
如
ごと
し。
18
それ
神
かみ
の
怒
いかり
は、
不義
ふぎ
をもて
眞理
まこと
を
阻
はば
む
人
ひと
の、もろもろの
不虔
ふけん
と
不義
ふぎ
とに
對
むか
ひて
天
てん
より
顯
あらは
る。
19
その
故
ゆゑ
は
神
かみ
につきて
知
し
り
得
う
べきことは
彼
かれ
らに
顯著
あらは
なればなり、
神
かみ
これを
顯
あらは
し
給
たま
へり。
20
それ
神
かみ
の
見
み
るべからざる
永遠󠄄
とこしへ
の
能力
ちから
と
神性
しんせい
とは
造󠄃
つく
られたる
物
もの
により
世
よ
の
創
はじめ
より
悟
さと
りえて
明
あきら
かに
見
み
るべければ、
彼
かれ
ら
言
い
ひ
遁
のが
るる
術
すべ
なし。
〘220㌻〙
21
神
かみ
を
知
し
りつつも
尙
なほ
これを
神
かみ
として
崇
あが
めず、
感謝
かんしゃ
せず、その
念
おもひ
は
虛
むな
しく、その
愚
おろか
なる
心
こゝろ
は
暗󠄃
くら
くなれり。
22
自
みづか
ら
智
かしこ
しと
稱
とな
へて
愚
おろか
となり、
23
朽
く
つることなき
神
かみ
の
榮光
えいくわう
を
易
か
へて
朽
く
つべき
人
ひと
および
禽獸
とりけもの
・
匍
は
ふ
物
もの
に
似
に
たる
像
かたち
となす。
24
この
故
ゆゑ
に
神
かみ
は
彼
かれ
らを
其
そ
の
心
こゝろ
の
慾
よく
にまかせて、
互
たがひ
にその
身
み
を
辱
はづか
しむる
汚穢
けがれ
に
付
わた
し
給
たま
へり。
25
彼
かれ
らは
神
かみ
の
眞
まこと
を
易
か
へて
虛僞
いつはり
となし、
造󠄃物主
つくりぬし
を
措
お
きて
造󠄃
つく
られたる
物
もの
を
拜
はい
し、
且
かつ
これに
事
つか
ふ、
造󠄃物主
つくりぬし
は
永遠󠄄
とこしへ
に
讃
ほ
むべき
者
もの
なり、アァメン。
303㌻
26
之
これ
によりて
神
かみ
は
彼
かれ
らを
恥
は
づべき
慾
よく
に
付
わた
し
給
たま
へり。
即
すなは
ち
女
をんな
は
順性
じゅんせい
の
用
よう
を
易
か
へて
逆󠄃性
ぎゃくせい
の
用
よう
となし、
27
男
をとこ
もまた
同
おな
じく
女
をんな
の
順性
じゅんせい
の
用
よう
を
棄
す
てて
互
たがひ
に
情󠄃
じゃう
慾
よく
を
熾
もや
し、
男
をとこ
と
男
をとこ
と
恥
は
づることを
行
おこな
ひて、その
迷󠄃
まよひ
に
値
あたひ
すべき
報
むくい
を
己
おの
が
身
み
に
受
う
けたり。
28
また
神
かみ
を
心
こゝろ
に
存
と
むるを
善
よ
しとせざれば、
神
かみ
もその
邪曲
よこしま
なる
心
こゝろ
の
隨
まゝ
に
爲
す
まじき
事
こと
をするに
任
まか
せ
給
たま
へり。
29
即
すなは
ちもろもろの
不義
ふぎ
・
惡
あく
・
慳貪
むさぼり
・
惡意󠄃
あくい
にて
滿
み
つる
者
もの
、また
嫉妬
ねたみ
・
殺意󠄃
さつい
・
紛爭
あらそひ
・
詭計
たばかり
・
惡念
あくねん
の
溢󠄃
あふ
るる
者
もの
、
30
讒言
ざんげん
する
者
もの
・
謗
そし
る
者
もの
・
神
かみ
に
憎
にく
まるる
者
もの
・
侮
あなど
る
者
もの
・
高
たか
ぶる
者
もの
・
誇
ほこ
る
者
もの
・
惡事
あくじ
を
企
くはだ
つる
者
もの
・
父󠄃母
ふぼ
に
逆󠄃
さから
ふ
者
もの
、
31
無知
むち
・
違󠄇約
ゐやく
・
無情󠄃
むじゃう
・
無
む
慈悲
じひ
なる
者
もの
にして、
32
斯
かゝ
る
事
こと
どもを
行
おこな
ふ
者
もの
の
死罪
しざい
に
當
あた
るべき
神
かみ
の
定
さだめ
を
知
し
りながら、
啻
たゞ
に
自己
みづから
これらの
事
こと
を
行
おこな
ふのみならず、また
人
ひと
の
之
これ
を
行
おこな
ふを
可
よ
しとせり。
第2章
1
然
さ
れば
凡
すべ
て
人
ひと
を
審
さば
く
者
もの
よ、なんぢ
言
い
ひ
遁
のが
るる
術
すべ
なし、
他
ほか
の
人
ひと
を
審
さば
くは、
正
まさ
しく
己
おのれ
を
罪
つみ
するなり。
人
ひと
をさばく
汝
なんぢ
もみづから
同
おな
じ
事
こと
を
行
おこな
へばなり。
2
斯
かゝ
る
事
こと
をおこなふ
者
もの
を
罪
つみ
する
神
かみ
の
審判󠄄
さばき
は
眞理
まこと
に
合
かな
へりと
我
われ
らは
知
し
る。
3
斯
かゝ
る
事
こと
をおこなふ
者
もの
を
審
さば
きて
自己
みづから
これを
行
おこな
ふ
人
ひと
よ、なんぢ
神
かみ
の
審判󠄄
さばき
を
遁
のが
れんと
思
おも
ふか。
4
神
かみ
の
仁慈
なさけ
なんぢを
悔改
くいあらため
に
導󠄃
みちび
くを
知
し
らずして、その
仁慈
なさけ
と
忍󠄄耐
にんたい
と
寛容
くわんよう
との
豐
ゆたか
なるを
輕
かろ
んずるか。
5
なんぢ
頑固
かたくな
と
悔改
くいあらた
めぬ
心
こゝろ
とにより
己
おのれ
のために
神
かみ
の
怒
いかり
を
積
つ
みて、その
正
たゞ
しき
審判󠄄
さばき
の
顯
あらは
るる
怒
いかり
の
日
ひ
に
及
およ
ぶなり。
6
神
かみ
はおのおのの
所󠄃作
しわざ
に
隨
したが
ひて
報
むく
い、
7
耐
たへ
忍󠄄
しの
びて
善
ぜん
をおこない
光榮
くわうえい
と
尊󠄅貴
たふとき
と
朽
く
ちざる
事
こと
とを
求
もと
むる
者
もの
には
永遠󠄄
とこしへ
の
生命
いのち
をもて
報
むく
い、
304㌻
8
徒黨
とたう
により
眞理
まこと
に
從
したが
はずして
不義
ふぎ
にしたがう
者
もの
には
怒
いかり
と
憤恚
いきどほり
とをもて
報
むく
い
給
たま
はん。
9
すべて
惡
あく
をおこなふ
人
ひと
には、ユダヤ
人
びと
を
始
はじ
めギリシヤ
人
びと
にも
患難
なやみ
と
苦難
くるしみ
とあり。
〘221㌻〙
10
凡
すべ
て
善
ぜん
をおこなふ
人
ひと
には、ユダヤ
人
びと
を
始
はじ
めギリシヤ
人
びと
にも
光榮
くわうえい
と
尊󠄅貴
たふとき
と
平󠄃安
へいあん
とあらん。
11
そは
神
かみ
には
偏󠄃
かたよ
り
視
み
給
たま
ふこと
無
な
ければなり。
12
凡
おほよ
そ
律法
おきて
なくして
罪
つみ
を
犯
をか
したる
者
もの
は
律法
おきて
なくして
滅
ほろ
び、
律法
おきて
ありて
罪
つみ
を
犯
をか
したる
者
もの
は
律法
おきて
によりて
審
さば
かるべし。
13
律法
おきて
を
聞
き
くもの
神
かみ
の
前󠄃
まへ
に
義
ぎ
たるにあらず、
律法
おきて
をおこなふ
者
もの
のみ
義
ぎ
とせらるべし。――
14
律法
おきて
を
有
も
たぬ
異邦人
いはうじん
、もし
本性
うまれつき
のまま
律法
おきて
に
載
の
せたる
所󠄃
ところ
をおこなふ
時
とき
は、
律法
おきて
を
有
も
たずとも
自
おのづ
から
己
おの
が
律法
おきて
たるなり。
15
即
すなは
ち
律法
おきて
の
命
めい
ずる
所󠄃
ところ
のその
心
こゝろ
に
錄
しる
されたるを
顯
あらは
し、おのが
良心
りゃうしん
もこれを
證
あかし
をなして、その
念
おもひ
、たがひに
或
あるひ
は
訴
うった
へ
或
あるひ
は
辯明
べんめい
す――
16
是
これ
わが
福音󠄃
ふくいん
に
云
い
へる
如
ごと
く
神
かみ
のキリスト・イエスによりて
人々
ひとびと
の
隱
かく
れたる
事
こと
を
審
さば
きたまふ
日
ひ
に
成
な
るべし。
17
汝
なんぢ
ユダヤ
人
びと
と
稱
とな
へられ、
律法
おきて
に
安
やす
んじ、
神
かみ
を
誇
ほこ
り、
18
その
御意󠄃
みこゝろ
を
知
し
り
律法
おきて
に
敎
をし
へられて
善惡
よしあし
を
辨
わきま
へ、
19
また
律法
おきて
のうちに
知識
ちしき
と
眞理
しんり
との
式
かた
を
有
も
てりとして
盲人
めしひ
の
手引
てびき
、
暗󠄃黑
くらき
にをる
者
もの
の
光明
ひかり
、
20
愚
おろか
なる
者
もの
の
守役
もりやく
、
幼兒
をさなご
の
敎師
けうし
なりと
自
みづか
ら
信
しん
ずる
者
もの
よ、
21
何
なに
ゆゑ
人
ひと
に
敎
をし
へて
己
おのれ
を
敎
をし
へぬか、
竊
ぬす
む
勿
なか
れと
宣
の
べて
自
みづか
ら
竊
ぬす
むか、
22
姦淫
かんいん
する
勿
なか
れと
言
い
ひて
姦淫
かんいん
するか、
偶像
ぐうざう
を
惡
にく
みて
宮
みや
の
物
もの
を
奪
うば
ふか、
23
律法
おきて
に
誇
ほこ
りて
律法
おきて
を
破
やぶ
り
神
かみ
を
輕
かろ
んずるか。
24
錄
しる
して『
神
かみ
の
名
な
は
汝
なんぢ
らの
故
ゆゑ
によりて
異邦人
いはうじん
の
中
なか
に
瀆
けが
さる』とあるが
如
ごと
し。
25
なんぢ
律法
おきて
を
守
まも
らば
割󠄅禮
かつれい
は
益
えき
あり、
律法
おきて
を
破
やぶ
らば
汝
なんぢ
の
割󠄅禮
かつれい
は
無
む
割󠄅禮
かつれい
となるなり。
26
割󠄅禮
かつれい
なき
者
もの
も
律法
おきて
の
義
ぎ
を
守
まも
らば、その
無
む
割󠄅禮
かつれい
は
割󠄅禮
かつれい
とせらるるにあらずや。
305㌻
27
本性
うまれつき
のまま
割󠄅禮
かつれい
なくして
律法
おきて
を
全󠄃
まった
うする
者
もの
は、
儀文
ぎぶん
と
割󠄅禮
かつれい
とありてなほ
律法
おきて
をやぶる
汝
なんぢ
を
審
さば
かん。
28
それ
表面
うはべ
のユダヤ
人
びと
はユダヤ
人
びと
たるにあらず、
肉
にく
に
在
あ
る
表面
うはべ
の
割󠄅禮
かつれい
は
割󠄅禮
かつれい
たるにあらず。
29
隱
ひそか
なるユダヤ
人
びと
はユダヤ
人
びと
なり、
儀文
ぎぶん
によらず、
靈
れい
による
心
こゝろ
の
割󠄅禮
かつれい
は
割󠄅禮
かつれい
なり、その
譽
ほまれ
は
人
ひと
よりにあらず
神
かみ
より
來
きた
るなり。
第3章
1
然
さ
らばユダヤ
人
びと
に
何
なに
の
優
すぐ
るる
所󠄃
ところ
ありや、また
割󠄅禮
かつれい
に
何
なに
の
益
えき
ありや。
2
凡
すべ
ての
事
こと
に
益
えき
おほし、
先
ま
づ
第一
だいいち
に
彼
かれ
らは
神
かみ
の
言
ことば
を
委
ゆだ
ねられたり。
3
されど
如何
いか
ん、ここに
信
しん
ぜざる
者
もの
ありとも、その
不
ふ
信
しん
は
神
かみ
の
眞實
しんじつ
を
廢
す
つべきか。
4
決
けっ
して
然
しか
らず、
人
ひと
をみな
虛僞
いつはり
者
もの
とすとも
神
かみ
を
誠實
まこと
とすべし。
錄
しる
して 『なんぢは
其
そ
の
言
ことば
にて
義
ぎ
とせられ、
審
さば
かるるとき
勝󠄃
かち
を
得給
えたま
はん
爲
ため
なり』とあるが
如
ごと
し。
〘222㌻〙
5
然
さ
れど
若
も
し
我
われ
らの
不義
ふぎ
は
神
かみ
の
義
ぎ
を
顯
あらは
すとせば
何
なに
と
言
い
はんか、
怒
いかり
を
加
くは
へたまふ
神
かみ
は
不義
ふぎ
なるか(こは
人
ひと
の
言
い
ふごとく
言
い
ふなり)
6
決
けっ
して
然
しか
らず、
若
も
し
然
しか
あらば
神
かみ
は
如何
いか
にして
世
よ
を
審
さば
き
給
たま
ふべき。
7
わが
虛僞
いつはり
によりて
神
かみ
の
誠實
まこと
いよいよ
顯
あらは
れ、その
榮光
えいくわう
とならんには、
爭
いか
で
我
われ
なほ
罪人
つみびと
として
審
さば
かるる
事
こと
あらん。
8
また『
善
ぜん
を
來
きた
らせん
爲
ため
に
惡
あく
をなすは
可
よ
からずや』(
或
ある
者
もの
われらを
譏
そし
りて
之
これ
を
我
われ
らの
言
ことば
なりといふ)
斯
かゝ
る
人
ひと
の
罪
つみ
に
定
さだ
めらるるは
正
たゞ
し。
9
さらば
如何
いか
ん、
我
われ
らの
勝󠄃
まさ
る
所󠄃
ところ
ありや、
有
あ
ることなし。
我
われ
ら
旣
すで
にユダヤ
人
びと
もギリシヤ
人
びと
もみな
罪
つみ
の
下
した
に
在
あ
りと
吿
つ
げたり。
10
錄
しる
して 『
義人
ぎじん
なし、
一人
ひとり
だになし、
11
聰
さと
き
者
もの
なく、
神
かみ
を
求
もと
むる
者
もの
なし。
12
みな
迷󠄃
まよ
ひて
相
あひ
共
とも
に
空󠄃
むな
しくなれり、
善
ぜん
をなす
者
もの
なし、
一人
ひとり
だになし。
13
彼
かれ
らの
咽
のど
は
開
ひら
きたる
墓
はか
なり、
舌
した
には
詭計
たばかり
あり、
口唇
くちびる
のうちには
蝮
まむし
の
毒
どく
あり、
306㌻
14
その
口
くち
は
詛
のろひ
と
苦
にがき
とにて
滿
み
つ。
15
その
足
あし
は
血
ち
を
流
なが
すに
速󠄃
はや
し、
16
破壞
やぶれ
と
艱難
なやみ
とその
道󠄃
みち
にあり、
17
彼
かれ
らは
平󠄃和
へいわ
の
道󠄃
みち
を
知
し
らず。
18
その
眼前󠄃
めのまへ
に
神
かみ
をおそるる
畏
おそれ
なし』とあるが
如
ごと
し。
19
それ
律法
おきて
の
言
い
ふところは
律法
おきて
の
下
した
にある
者
もの
に
語
かた
ると
我
われ
らは
知
し
る、これは
凡
すべ
ての
口
くち
ふさがり、
神
かみ
の
審判󠄄
さばき
に
全󠄃世界
ぜんせかい
の
服󠄃
ふく
せん
爲
ため
なり。
20
律法
おきて
の
行爲
おこなひ
によりては、
一人
ひとり
だに
神
かみ
のまへに
義
ぎ
とせられず、
律法
おきて
によりて
罪
つみ
は
知
し
らるるなり。
21
然
しか
るに
今
いま
や
律法
おきて
の
外
ほか
に
神
かみ
の
義
ぎ
は
顯
あらは
れたり、これ
律法
おきて
と
預言者
よげんしゃ
とに
由
よ
りて
證
あかし
せられ、
22
イエス・キリストを
信
しん
ずるに
由
よ
りて
凡
すべ
て
信
しん
ずる
者
もの
に
與
あた
へたまふ
神
かみ
の
義
ぎ
なり。
之
これ
には
何
なに
等
ら
の
差別
さべつ
あるなし。
23
凡
すべ
ての
人
ひと
、
罪
つみ
を
犯
をか
したれば
神
かみ
の
榮光
えいくわう
を
受
う
くるに
足
た
らず、
24
功
いさお
なくして
神
かみ
の
恩惠
めぐみ
により、キリスト・イエスにある
贖罪
あがなひ
によりて
義
ぎ
とせらるるなり。
25
即
すなは
ち
神
かみ
は
忍󠄄耐
にんたい
をもて
過󠄃來
すぎこ
しかたの
罪
つみ
を
見遁
みのが
し
給
たま
ひしが、
己
おのれ
の
義
ぎ
を
顯
あらは
さんとて、キリストを
立
た
て、その
血
ち
によりて
信仰
しんかう
によれる
宥
なだめ
の
供物
そなへもの
となし
給
たま
へり。
26
これ
今
いま
おのれの
義
ぎ
を
顯
あらは
して、
自
みづか
ら
義
ぎ
たらん
爲
ため
、またイエスを
信
しん
ずる
者
もの
を
義
ぎ
とし
給
たま
はん
爲
ため
なり。
〘223㌻〙
27
然
さ
らば
誇
ほこ
るところ
何處
いづこ
にあるか。
旣
すで
に
除
のぞ
かれたり、
何
なに
の
律法
おきて
に
由
よ
りてか、
行爲
おこなひ
の
律法
おきて
か、
然
しか
らず、
信仰
しんかう
の
律法
おきて
に
由
よ
りてなり。
28
我
われ
らは
思
おも
ふ、
人
ひと
の
義
ぎ
とせらるるは、
律法
おきて
の
行爲
おこなひ
によらず、
信仰
しんかう
に
由
よ
るなり。
29
神
かみ
はただユダヤ
人
びと
のみの
神
かみ
なるか、また
異邦人
いはうじん
の
神
かみ
ならずや、
然
しか
り、また
異邦人
いはうじん
の
神
かみ
なり。
30
神
かみ
は
唯一
ゆゐいつ
にして
割󠄅禮
かつれい
ある
者
もの
を
信仰
しんかう
によりて
義
ぎ
とし、
割󠄅禮
かつれい
なき
者
もの
をも
信仰
しんかう
によりて
義
ぎ
とし
給
たま
へばなり。
31
然
さ
らば
我
われ
ら
信仰
しんかう
をもて
律法
おきて
を
空󠄃
むな
しくするか、
決
けっ
して
然
しか
らず、
反
かへ
つて
律法
おきて
を
堅
かた
うするなり。
307㌻
第4章
1
然
さ
らば《[*]》
我
われ
らの
先祖
せんぞ
アブラハムは
肉
にく
につきて
何
なに
を
得
え
たりと
言
い
はんか。[*或は「肉によれる我らの先祖アブラハム何を……」と譯す。]
2
アブラハム
若
も
し
行爲
おこなひ
によりて
義
ぎ
とせられたらんには
誇
ほこ
るべき
所󠄃
ところ
あり、
然
さ
れど
神
かみ
の
前󠄃
まへ
には
有
あ
ることなし。
3
聖󠄄書
せいしょ
に
何
なに
と
云
い
へるか『アブラハム
神
かみ
を
信
しん
ず、その
信仰
しんかう
を
義
ぎ
と
認󠄃
みと
められたり』と。
4
それ
働
はたら
く
者
もの
への
報酬
むくい
は
恩惠
めぐみ
といはず、
負󠄅債
おひめ
と
認󠄃
みと
めらる。
5
されど
働
はたら
く
事
こと
なくとも、
敬虔
けいけん
ならぬ
者
もの
を
義
ぎ
としたまふ
神
かみ
を
信
しん
ずる
者
もの
は、その
信仰
しんかう
を
義
ぎ
と
認󠄃
みと
めらるるなり。
6
ダビデもまた
行爲
おこなひ
なくして
神
かみ
に
義
ぎ
と
認󠄃
みと
めらるる
人
ひと
の
幸福
さいはひ
につきて
斯
か
く
云
い
へり。
曰
いは
く、
7
『
不法
ふほふ
を
免
ゆる
され、
罪
つみ
を
蔽
おほ
はれたる
者
もの
は
幸福
さいはひ
なるかな、
8
主
しゅ
が
罪
つみ
を
認󠄃
みと
め
給
たま
はぬ
人
ひと
は
幸福
さいはひ
なるかな』
9
然
さ
れば
此
こ
の
幸福
さいはひ
はただ
割󠄅禮
かつれい
ある
者
もの
にのみあるか、また
割󠄅禮
かつれい
なき
者
もの
にもあるか、
我
われ
らは
言
い
ふ『アブラハムはその
信仰
しんかう
を
義
ぎ
と
認󠄃
みと
められたり』と。
10
如何
いか
なるときに
義
ぎ
と
認󠄃
みと
められたるか、
割󠄅禮
かつれい
ののちか、
無
む
割󠄅禮
かつれい
のときか、
割󠄅禮
かつれい
の
後
のち
ならず、
無
む
割󠄅禮
かつれい
の
時
とき
なり。
11
而
しか
して
無
む
割󠄅禮
かつれい
のときの
信仰
しんかう
によれる
義
ぎ
の
印
いん
として
割󠄅禮
かつれい
の
徽
しるし
を
受
う
けたり、これ
無
む
割󠄅禮
かつれい
にして
信
しん
ずる
凡
すべ
ての
者
もの
の
義
ぎ
と
認󠄃
みと
められん
爲
ため
に、その
父󠄃
ちち
となり、
12
また
割󠄅禮
かつれい
のみに
由
よ
らず、
我
われ
らの
父󠄃
ちち
アブラハムの
無
む
割󠄅禮
かつれい
のときの
信仰
しんかう
の
跡
あと
をふむ
割󠄅禮
かつれい
ある
者
もの
の
父󠄃
ちち
とならん
爲
ため
なり。
13
アブラハム
世界
せかい
の
世嗣
よつぎ
たるべしとの
約束
やくそく
を、アブラハムとその
裔
すゑ
との
與
あた
へられしは、
律法
おきて
に
由
よ
らず、
信仰
しんかう
の
義
ぎ
に
由
よ
れるなり。
14
もし
律法
おきて
による
者
もの
ども
世嗣
よつぎ
たらば、
信仰
しんかう
は
空󠄃
むな
しく
約束
やくそく
は
廢
すた
るなり。
15
それ
律法
おきて
は
怒
いかり
を
招
まね
く、
律法
おきて
なき
所󠄃
ところ
には
罪
つみ
を
犯
をか
すこともなし。
16
この
故
ゆゑ
に
世嗣
よつぎ
たることの
恩惠
めぐみ
に
干
あづか
らんために
信仰
しんかう
に
由
よ
るなり、
是
これ
かの
約束
やくそく
のアブラハムの
凡
すべ
ての
裔
すゑ
、すなはち
律法
おきて
による
裔
すゑ
のみならず、
彼
かれ
の
信仰
しんかう
に
效
なら
ふ
裔
すゑ
にも
堅
かた
うせられん
爲
ため
なり。
308㌻
17
彼
かれ
はその
信
しん
じたる
所󠄃
ところ
の
神
かみ
、すなはち
死人
しにん
を
活
いか
し、
無
な
きものを
有
あ
るものの
如
ごと
く
呼
よ
びたまふ
神
かみ
の
前󠄃
まへ
にて
我等
われら
すべての
者
もの
の
父󠄃
ちち
たるなり。
錄
しる
して『われ
汝
なんぢ
を
立
た
てて
多
おほ
くの
國人
くにびと
の
父󠄃
ちち
とせり』とあるが
如
ごと
し。
〘224㌻〙
18
彼
かれ
は
望󠄇
のぞ
むべくもあらぬ
時
とき
になほ
望󠄇
のぞ
みて
信
しん
じたり、
是
これ
なんぢの
裔
すゑ
は
斯
かく
の
如
ごと
くなるべしと
言
い
ひ
給
たま
ひしに
隨
したが
ひて
多
おほ
くの
國人
くにびと
の
父󠄃
ちち
とならん
爲
ため
なりき。
19
斯
かく
て
凡
おほよ
そ
百歳
ひゃくさい
に
及
およ
びて
己
おの
が
身
み
の
死
し
にたるがごとき
狀
さま
なると、サラの
胎
たい
の
死
し
にたるが
如
ごと
きとを
認󠄃
みと
むれども、その
信仰
しんかう
よわらず、
20
不
ふ
信
しん
をもて
神
かみ
の
約束
やくそく
を
疑
うたが
はず、
信仰
しんかう
により
强
つよ
くなりて
神
かみ
に
榮光
えいくわう
を
歸
き
し、
21
その
約
やく
し
給
たま
へることを
成
な
し
得給
えたま
ふと
確信
かくしん
せり。
22
之
これ
に
由
よ
りて
其
そ
の
信仰
しんかう
を
義
ぎ
と
認󠄃
みと
められたり。
23
斯
か
く『
義
ぎ
と
認󠄃
みと
められたり』と
錄
しる
したるは、アブラハムの
爲
ため
のみならず、また
我
われ
らの
爲
ため
なり。
24
我
われ
らの
主
しゅ
イエスを
死人
しにん
の
中
うち
より
甦
よみが
へらせ
給
たま
ひし
者
もの
を
信
しん
ずる
我
われ
らも、その
信仰
しんかう
を
義
ぎ
と
認󠄃
みと
められん。
25
主
しゅ
は
我
われ
らの
罪
つみ
のために
付
わた
され、
我
われ
らの
義
ぎ
とせられん
爲
ため
に
甦
よみが
へらせられ
給
たま
へるなり。
第5章
1
斯
か
く
我
われ
ら
信仰
しんかう
によりて
義
ぎ
とせられたれば、
我
われ
らの
主
しゅ
イエス・キリストに
賴
よ
り、
神
かみ
に
對
たい
して
平󠄃和
へいわ
を
得
え
たり。
2
また
彼
かれ
により
信仰
しんかう
によりて
今
いま
、
立
た
つところの
恩惠
めぐみ
に
入
い
ることを
得
え
、
神
かみ
の
榮光
えいくわう
を
望󠄇
のぞ
みて
喜
よろこ
ぶなり。
3
然
しか
のみならず
患難
なやみ
をも
喜
よろこ
ぶ、そは
患難
なやみ
は
忍󠄄耐
にんたい
を
生
しゃう
じ、
4
忍󠄄耐
にんたい
は
練達󠄃
れんたつ
を
生
しゃう
じ、
練達󠄃
れんたつ
は
希望󠄇
きばう
を
生
しゃう
ずと
知
し
ればなり。
5
希望󠄇
きばう
は
恥
はぢ
を
來
きた
らせず、
我
われ
らに
賜
たま
ひたる
聖󠄄
せい
靈
れい
によりて
神
かみ
の
愛
あい
、われらの
心
こゝろ
に
注
そゝ
げばなり。
6
我等
われら
のなほ
弱󠄃
よわ
かりし
時
とき
、キリスト
定
さだま
りたる
日
ひ
に
及
およ
びて
敬虔
けいけん
ならぬ
者
もの
のために
死
し
に
給
たま
へり。
7
それ
義人
ぎじん
のために
死
し
ぬるもの
殆
ほとん
どなし、
仁者
じんしゃ
のためには
死
し
ぬることを
厭
いと
はぬ
者
もの
もやあらん。
309㌻
8
然
さ
れど
我等
われら
がなほ
罪人
つみびと
たりし
時
とき
、キリスト
我等
われら
のために
死
し
に
給
たま
ひしに
由
よ
りて、
神
かみ
は
我
われ
らに
對
たい
する
愛
あい
をあらはし
給
たま
へり。
9
斯
か
く
今
いま
その
血
ち
に
賴
よ
りて
我
われ
ら
義
ぎ
とせられたらんには、
况
まし
て
彼
かれ
によりて
怒
いかり
より
救
すく
はれざらんや。
10
我等
われら
もし
敵
てき
たりしとき
御子
みこ
の
死
し
に
賴
よ
りて
神
かみ
と
和
やはら
ぐことを
得
え
たらんには、
况
まし
て
和
やはら
ぎて
後
のち
その
生命
いのち
によりて
救
すく
はれざらんや。
11
然
しか
のみならず
今
いま
われらに
和睦
やはらぎ
を
得
え
させ
給
たま
へる
我
われ
らの
主
しゅ
イエス・キリストに
賴
よ
りて
神
かみ
を
喜
よろこ
ぶなり。
12
それ
一人
ひとり
の
人
ひと
によりて
罪
つみ
は
世
よ
に
入
い
り、また
罪
つみ
によりて
死
し
は
世
よ
に
入
い
り、
凡
すべ
ての
人
ひと
、
罪
つみ
を
犯
をか
しし
故
ゆゑ
に
死
し
は
凡
すべ
ての
人
ひと
に
及
およ
べり。
〘225㌻〙
13
律法
おきて
のきたる
前󠄃
さき
にも
罪
つみ
は
世
よ
にありき、
然
さ
れど
律法
おきて
なくば
罪
つみ
は
認󠄃
みと
めらるること
無
な
し。
14
然
しか
るにアダムよりモーセに
至
いた
るまで、アダムの
咎
とが
と
等
ひと
しき
罪
つみ
を
犯
をか
さぬ
者
もの
の
上
うへ
にも
死
し
は
王
わう
たりき。アダムは
來
きた
らんとする
者
もの
の
型
かた
なり。
15
然
さ
れど
恩惠
めぐみ
の
賜物
たまもの
は、かの
咎
とが
の
如
ごと
きにあらず、
一人
ひとり
の
咎
とが
によりて
多
おほ
くの
人
ひと
の
死
し
にたらんには、
况
まし
て
神
かみ
の
恩惠
めぐみ
と
一人
ひとり
の
人
ひと
イエス・キリストによる
恩惠
めぐみ
の
賜物
たまもの
とは、
多
おほ
くの
人
ひと
に
溢󠄃
あふ
れざらんや。
16
又󠄂
また
この
賜物
たまもの
は
罪
つみ
を
犯
をか
しし
一人
ひとり
より
來
きた
れるものの
如
ごと
きにあらず、
審判󠄄
さばき
は
一人
ひとり
よりして
罪
つみ
を
定
さだ
むるに
至
いた
りしが、
恩惠
めぐみ
の
賜物
たまもの
は
多
おほ
くの
咎
とが
よりして
義
ぎ
とするに
至
いた
るなり。
17
もし
一人
ひとり
の
咎
とが
のために
一人
ひとり
によりて
死
し
は
王
わう
となりたらんには、
况
まし
て
恩惠
めぐみ
と
義
ぎ
の
賜物
たまもの
とを
豐
ゆたか
に
受
う
くる
者
もの
は
一人
ひとり
のイエス・キリストにより
生命
いのち
に
在
あ
りて
王
わう
たらざらんや。
18
されば
一
ひと
つの
咎
とが
によりて
罪
つみ
を
定
さだ
むることの
凡
すべ
ての
人
ひと
に
及
およ
びしごとく、
一
ひと
つの
正
たゞ
しき
行爲
おこなひ
によりて
義
ぎ
とせられ、
生命
いのち
を
得
う
るに
至
いた
ることも
凡
すべ
ての
人
ひと
に
及
およ
べり。
310㌻
19
それは
一人
ひとり
の
不
ふ
從順
じゅうじゅん
によりて
多
おほ
くの
人
ひと
の
罪人
つみびと
とせられし
如
ごと
く、
一人
ひとり
の
從順
じゅうじゅん
によりて
多
おほ
くの
人
ひと
、
義人
ぎじん
とせらるるなり。
20
律法
おきて
の
來
きた
りしは
咎
とが
の
增
ま
さんためなり。
然
さ
れど
罪
つみ
の
增
ま
すところには
恩惠
めぐみ
も
彌增
いやま
せり。
21
これ
罪
つみ
の
死
し
によりて
王
わう
たりし
如
ごと
く、
恩惠
めぐみ
も
義
ぎ
によりて
王
わう
となり、
我
われ
らの
主
しゅ
イエス・キリストに
由
よ
りて
永遠󠄄
とこしへ
の
生命
いのち
に
至
いた
らん
爲
ため
なり。
第6章
1
されば
何
なに
をか
言
い
はん、
恩惠
めぐみ
の
增
ま
さんために
罪
つみ
のうちに
止
とゞま
るべきか、
2
決
けっ
して
然
しか
らず、
罪
つみ
に
就
つ
きて
死
し
にたる
我
われ
らは
爭
いか
で
尙
なほ
その
中
うち
に
生
い
きんや。
3
なんぢら
知
し
らぬか、
凡
おほよ
そキリスト・イエスに
合
あ
ふバプテスマを
受
う
けたる
我
われ
らは、その
死
し
に
合
あ
ふバプテスマを
受
う
けしを。
4
我
われ
らはバプテスマによりて
彼
かれ
とともに
葬
はうむ
られ、その
死
し
に
合
あは
せられたり。これキリスト
父󠄃
ちち
の
榮光
えいくわう
によりて
死人
しにん
の
中
うち
より
甦
よみが
へらせられ
給
たま
ひしごとく、
我
われ
らも
新
あたら
しき
生命
いのち
に
步
あゆ
まんためなり。
5
我
われ
らキリストに
接
つ
がれて、その
死
し
の
狀
さま
にひとしくば、その
復活
よみがへり
にも
等
ひと
しかるべし。
6
我
われ
らは
知
し
る、われらの
舊
ふる
き
人
ひと
、キリストと
共
とも
に
十字架
じふじか
につけられたるは、
罪
つみ
の
體
からだ
ほろびて、
此
こ
ののち
罪
つみ
に
事
つか
へざらん
爲
ため
なるを。
7
そは
死
し
にし
者
もの
は
罪
つみ
より
脫󠄁
のが
るるなり。
8
我等
われら
もしキリストと
共
とも
に
死
し
にしならば、また
彼
かれ
とともに
活
い
きんことを
信
しん
ず。
9
キリスト
死人
しにん
の
中
うち
より
甦
よみが
へりて
復
また
死
し
に
給
たま
はず、
死
し
もまた
彼
かれ
に
主
しゅ
とならぬを
我
われ
ら
知
し
ればなり。
10
その
死
し
に
給
たま
へるは
罪
つみ
につきて
一
ひと
たび
死
し
に
給
たま
へるにて、その
活
い
き
給
たま
へるは
神
かみ
につきて
活
い
き
給
たま
へるなり。
〘226㌻〙
11
斯
かく
のごとく
汝
なんぢ
らも
己
おのれ
を
罪
つみ
につきては
死
し
にたるもの、
神
かみ
につきては、キリスト・イエスに
在
あ
りて
活
い
きたる
者
もの
と
思
おも
ふべし。
311㌻
12
然
さ
れば
罪
つみ
を
汝
なんぢ
らの
死
し
ぬべき
體
からだ
に
王
わう
たらしめて
其
そ
の
慾
よく
に
從
したが
ふことなく、
13
汝
なんぢ
らの
肢體
したい
を
罪
つみ
に
獻
さゝ
げて
不義
ふぎ
の《[*]》
器
うつは
となさず、
反
かへ
つて
死人
しにん
の
中
うち
より
活
い
き
返󠄄
かへ
りたる
者
もの
のごとく
己
おのれ
を
神
かみ
にささげ、その
肢體
したい
を
義
ぎ
の
器
うつは
として
神
かみ
に
獻
さゝ
げよ。[*或は「武器」と譯す。]
14
汝
なんぢ
らは
律法
おきて
の
下
した
にあらずして
恩惠
めぐみ
の
下
した
にあれば、
罪
つみ
は
汝
なんぢ
らに
主
しゅ
となる
事
こと
なきなり。
15
然
さ
らば
如何
いか
に、
我
われ
らは
律法
おきて
の
下
した
にあらず、
恩惠
めぐみ
の
下
した
にあるが
故
ゆゑ
に
罪
つみ
を
犯
をか
すべきか、
決
けっ
して
然
しか
らず。
16
なんぢら
知
し
らぬか、
己
おのれ
を
獻
さゝ
げ
僕
しもべ
となりて、
誰
たれ
に
從
したが
ふとも
其
そ
の
僕
しもべ
たることを。
或
あるひ
は
罪
つみ
の
僕
しもべ
となりて
死
し
に
至
いた
り、
或
あるひ
は
從順
じゅうじゅん
の
僕
しもべ
となりて
義
ぎ
にいたる。
17
然
さ
れど
神
かみ
に
感謝
かんしゃ
す、
汝
なんぢ
等
ら
はもと
罪
つみ
の
僕
しもべ
なりしが、
傳
つた
へられし
敎
をしへ
の
範
のり
に
心
こゝろ
より
從
したが
ひ、
18
罪
つみ
より
解放
ときはな
されて
義
ぎ
の
僕
しもべ
となりたり。
19
斯
か
く
人
ひと
の
事
こと
をかりて
言
い
ふは、
汝
なんぢ
らの
肉
にく
よわき
故
ゆゑ
なり。なんぢら
舊
もと
その
肢體
したい
をささげ、
穢
けがれ
と
不法
ふほふ
との
僕
しもべ
となりて
不法
ふほふ
に
到
いた
りしごとく、
今
いま
その
肢體
したい
をささげ、
義
ぎ
の
僕
しもべ
となりて
潔󠄄
きよき
に
到
いた
れ。
20
なんぢら
罪
つみ
の
僕
しもべ
たりしときは
義
ぎ
に
對
たい
して
自由
じいう
なりき。
21
その
時
とき
に
今
いま
は
恥
はぢ
とする
所󠄃
ところ
の
事
こと
によりて
何
なに
の
實
み
を
得
え
しか、これらの
事
こと
の
極
はて
は
死
し
なり。
22
然
さ
れど
今
いま
は
罪
つみ
より
解放
ときはな
されて
神
かみ
の
僕
しもべ
となりたれば、
潔󠄄
きよき
にいたる
實
み
を
得
え
たり、その
極
はて
は
永遠󠄄
とこしへ
の
生命
いのち
なり。
23
それ
罪
つみ
の
拂
はら
ふ
價
あたひ
は
死
し
なり、
然
さ
れど
神
かみ
の
賜物
たまもの
は
我
われ
らの
主
しゅ
キリスト・イエスにありて
受
う
くる
永遠󠄄
とこしへ
の
生命
いのち
なり。
第7章
1
兄弟
きゃうだい
よ、なんぢら
知
し
らぬか、(われ
律法
おきて
を
知
し
る
者
もの
に
語
かた
る)
律法
おきて
は
人
ひと
の
生
い
ける
間
あひだ
のみ、
之
これ
に
主
しゅ
たるなり。
312㌻
2
夫
をっと
ある
婦󠄃
をんな
は
律法
おきて
によりて
夫
をっと
の
生
い
ける
中
うち
は
之
これ
に
縛
しば
らる。
然
さ
れど
夫
をっと
死
し
なば
夫
をっと
の
律法
おきて
より
解
と
かるるなり。
3
然
さ
れば
夫
をっと
の
生
い
ける
中
うち
に
他
ほか
の
人
ひと
に
適󠄄
ゆ
かば
淫婦󠄃
いんぷ
と
稱
とな
へらるれど、
夫
をっと
死
し
なば、その
律法
おきて
より
解放
ときはな
さるる
故
ゆゑ
に
他
ほか
の
人
ひと
に
適󠄄
ゆ
くとも
淫婦󠄃
いんぷ
とはならぬなり。
4
わが
兄弟
きゃうだい
よ、
斯
かく
のごとく
汝
なんぢ
等
ら
もキリストの
體
からだ
により
律法
おきて
に
就
つ
きて
死
し
にたり。これ
他
ほか
の
者
もの
、
即
すなは
ち
死人
しにん
の
中
うち
より
甦
よみが
へらせられ
給
たま
ひし
者
もの
に
適󠄄
ゆ
き、
神
かみ
のために
實
み
を
結
むす
ばん
爲
ため
なり。
5
われら
肉
にく
に
在
あ
りしとき、
律法
おきて
に
由
よ
れる
罪
つみ
の
情󠄃
じゃう
は
我
われ
らの
肢體
したい
のうちに
働
はたら
きて、
死
し
のために
實
み
を
結
むす
ばせたり。
〘227㌻〙
6
然
さ
れど
縛
しば
られたる
所󠄃
ところ
に
就
つ
きて
我等
われら
いま
死
し
にて
律法
おきて
より
解
と
かれたれば、
儀文
ぎぶん
の
舊
ふる
きによらず、
靈
れい
の
新
あたら
しきに
從
したが
ひて
事
つか
ふることを
得
う
るなり。
7
然
さ
らば
何
なに
をか
言
い
はん、
律法
おきて
は
罪
つみ
なるか、
決
けっ
して
然
しか
らず、
律法
おきて
に
由
よ
らでは、われ
罪
つみ
を
知
し
らず、
律法
おきて
に『
貪
むさぼ
る
勿
なか
れ』と
言
い
はずば、
慳貪
むさぼり
を
知
し
らざりき。
8
然
さ
れど
罪
つみ
は
機
をり
に
乘
じょう
じ
誡命
いましめ
によりて
各樣
さまざま
の
慳貪
むさぼり
を
我
わ
がうちに
起󠄃
おこ
せり、
律法
おきて
なくば
罪
つみ
は
死
し
にたるものなり。
9
われ
曾
かつ
て
律法
おきて
なくして
生
い
きたれど、
誡命
いましめ
きたりし
時
とき
に
罪
つみ
は
生
い
き、
我
われ
は
死
し
にたり。
10
而
しか
して
我
われ
は
生命
いのち
にいたるべき
誡命
いましめ
の
反
かへ
つて
死
し
に
到
いた
らしむるを
見出
みいだ
せり。
11
これ
罪
つみ
は
機
をり
に
乘
じょう
じ
誡命
いましめ
によりて
我
われ
を
欺
あざむ
き、かつ
之
これ
によりて
我
われ
を
殺
ころ
せり。
12
それ
律法
おきて
は
聖󠄄
せい
なり、
誡命
いましめ
もまた
聖󠄄
せい
にして
正
たゞ
しく、かつ
善
ぜん
なり。
13
然
さ
れば
善
ぜん
なるもの
我
われ
に
死
し
となりたるか。
決
けっ
して
然
しか
らず、
罪
つみ
は
罪
つみ
たることの
現
あらは
れんために
善
ぜん
なる
者
もの
によりて
我
わ
が
內
うち
に
死
し
を
來
きた
らせたるなり。これ
誡命
いましめ
によりて
罪
つみ
の
甚
はなは
だしき
惡
あく
とならん
爲
ため
なり。
14
われら
律法
おきて
は
靈
れい
なるものと
知
し
る、されど
我
われ
は
肉
にく
なる
者
もの
にて
罪
つみ
の
下
した
に
賣
う
られたり。
15
わが
行
おこな
ふことは
我
われ
しらず、
我
わ
が
欲
ほっ
する
所󠄃
ところ
は
之
これ
をなさず、
反
かへ
つて
我
わ
が
憎
にく
むところは
之
これ
を
爲
な
すなり。
313㌻
16
わが
欲
ほっ
せぬ
所󠄃
ところ
を
爲
な
すときは
律法
おきて
の
善
ぜん
なるを
認󠄃
みと
む。
17
然
さ
れば
之
これ
を
行
おこな
ふは
我
われ
にあらず、
我
わ
が
中
うち
に
宿
やど
る
罪
つみ
なり。
18
我
われ
はわが
中
うち
、すなわち
我
わ
が
肉
にく
のうちに
善
ぜん
の
宿
やど
らぬを
知
し
る、
善
ぜん
を
欲
ほっ
すること
我
われ
にあれど、
之
これ
を
行
おこな
ふ
事
こと
なければなり。
19
わが
欲
ほっ
する
所󠄃
ところ
の
善
ぜん
は
之
これ
をなさず、
反
かへ
つて
欲
ほっ
せぬ
所󠄃
ところ
の
惡
あく
は
之
これ
をなすなり。
20
我
われ
もし
欲
ほっ
せぬ
所󠄃
ところ
の
事
こと
をなさば、
之
これ
を
行
おこな
ふは
我
われ
にあらず、
我
わ
が
中
うち
に
宿
やど
る
罪
つみ
なり。
21
然
さ
れば
善
ぜん
をなさんと
欲
ほっ
する
我
われ
に
惡
あく
ありとの
法
のり
を、われ
見出
みいだ
せり。
22
われ
中
うち
なる
人
ひと
にては
神
かみ
の
律法
おきて
を
悅
よろこ
べど、
23
わが
肢體
したい
のうちに
他
ほか
の
法
のり
ありて、
我
わ
が
心
こゝろ
の
法
のり
と
戰
たゝか
ひ、
我
われ
を
肢體
したい
の
中
うち
にある
罪
つみ
の
法
のり
の
下
した
に
虜
とりこ
とするを
見
み
る。
24
噫
あゝ
われ
惱
なや
める
人
ひと
なるかな、
此
こ
の
死
し
の
體
からだ
より
我
われ
を
救
すく
はん
者
もの
は
誰
たれ
ぞ。
25
我
われ
らの
主
しゅ
イエス・キリストに
賴
よ
りて
神
かみ
に
感謝
かんしゃ
す、
然
さ
れば
我
われ
みづから
心
こゝろ
にては
神
かみ
の
律法
おきて
につかへ、
內
うち
にては
罪
つみ
の
法
のり
に
事
つか
ふるなり。
第8章
1
この
故
ゆゑ
に
今
いま
やキリスト・イエスに
在
あ
る
者
もの
は
罪
つみ
に
定
さだ
めらるることなし。
2
キリスト・イエスに
在
あ
る
生命
いのち
の
御靈
みたま
の
法
のり
は、なんぢを
罪
つみ
と
死
し
との
法
のり
より
解放
ときはな
したればなり。
3
肉
にく
によりて
弱󠄃
よわ
くなれる
律法
おきて
の
成
な
し
能
あた
はぬ
所󠄃
ところ
を
神
かみ
は
爲
な
し
給
たま
へり、
即
すなは
ち
己
おのれ
の
子
こ
を
罪
つみ
ある
肉
にく
の
形
かたち
にて
罪
つみ
のために
遣󠄃
つかは
し、
肉
にく
に
於
おい
て
罪
つみ
を
定
さだ
めたまへり。
〘228㌻〙
4
これ
肉
にく
に
從
したが
はず、
靈
れい
に
從
したが
ひて
步
あゆ
む
我
われ
らの
中
うち
に
律法
おきて
の
義
ぎ
の
完
まった
うせられん
爲
ため
なり。
5
肉
にく
にしたがふ
者
もの
は
肉
にく
の
事
こと
をおもひ、
靈
れい
にしたがふ
者
もの
は
靈
れい
の
事
こと
をおもふ。
6
肉
にく
の
念
おもひ
は
死
し
なり、
靈
れい
の
念
おもひ
は
生命
いのち
なり、
平󠄃安
へいあん
なり。
7
肉
にく
の
念
おもひ
は
神
かみ
に
逆󠄃
さから
ふ、それは
神
かみ
の
律法
おきて
に
服󠄃
したが
はず、
否
いな
したがふこと
能
あた
はず、
8
また
肉
にく
に
居
を
る
者
もの
は
神
かみ
を
悅
よろこ
ばすこと
能
あた
はざるなり。
9
然
さ
れど
神
かみ
の
御靈
みたま
なんぢらの
中
うち
に
宿
やど
り
給
たま
はば、
汝
なんぢ
らは
肉
にく
に
居
を
らで
靈
れい
に
居
を
らん、キリストの
御靈
みたま
なき
者
もの
はキリストに
屬
ぞく
する
者
もの
にあらず。
314㌻
10
若
も
しキリスト
汝
なんぢ
らに
在
いま
さば
體
からだ
は
罪
つみ
によりて
死
し
にたる
者
もの
なれど
靈
れい
は
義
ぎ
によりて
生命
いのち
に
在
あ
らん。
11
若
も
しイエスを
死人
しにん
の
中
うち
より
甦
よみが
へらせ
給
たま
ひし
者
もの
の
御靈
みたま
なんぢらの
中
うち
に
宿
やど
り
給
たま
はば、キリスト・イエスを
死人
しにん
の
中
うち
より
甦
よみが
へらせ
給
たま
ひし
者
もの
は、
汝
なんぢ
らの
中
うち
に
宿
やど
りたまふ
御靈
みたま
によりて
汝
なんぢ
らの
死
し
ぬべき
體
からだ
をも
活
いか
し
給
たま
はん。
12
されば
兄弟
きゃうだい
よ、われらは
負󠄅債
おひめ
あれど、
肉
にく
に
負󠄅
お
ふ
者
もの
ならねば、
肉
にく
に
從
したが
ひて
活
い
くべきにあらず。
13
汝
なんぢ
等
ら
もし
肉
にく
に
從
したが
ひて
活
い
きなば、
死
し
なん。もし
靈
れい
によりて
體
からだ
の
行爲
おこなひ
を
殺
ころ
さば
活
い
くべし。
14
すべて
神
かみ
の
御靈
みたま
に
導󠄃
みちび
かるる
者
もの
は、これ
神
かみ
の
子
こ
なり。
15
汝
なんぢ
らは
再
ふたゝ
び
懼
おそれ
を
懷
いだ
くために
僕
しもべ
たる
靈
れい
を
受
う
けしにあらず、
子
こ
とせられたる
者
もの
の
靈
れい
を
受
う
けたり、
之
これ
によりて
我
われ
らはアバ
父󠄃
ちち
と
呼
よ
ぶなり。
16
御靈
みたま
みづから
我
われ
らの
靈
れい
とともに
我
われ
らが
神
かみ
の
子
こ
たることを
證
あかし
す。
17
もし
子
こ
たらば
世嗣
よつぎ
たらん、
神
かみ
の
嗣子
よつぎ
にしてキリストと
共
とも
に
世嗣
よつぎ
たるなり。これはキリストとともに
榮光
えいくわう
を
受
う
けん
爲
ため
に、その
苦難
くるしみ
をも
共
とも
に
受
う
くるに
因
よ
る。
18
われ
思
おも
うに、
今
いま
の
時
とき
の
苦難
くるしみ
は、われらの
上
うへ
に
顯
あらは
れんとする
榮光
えいくわう
にくらぶるに
足
た
らず。
19
それ
造󠄃
つく
られたる
者
もの
は
切
せつ
に
慕
した
ひて
神
かみ
の
子
こ
たちの
現
あらは
れんことを
待
ま
つ。
20
造󠄃
つく
られたるものの
虛無
むなしき
に
服󠄃
ふく
せしは、
己
おの
が
願
ねがひ
によるにあらず、
服󠄃
ふく
せしめ
給
たま
ひし
者
もの
によるなり。
21
然
さ
れどなほ
造󠄃
つく
られたる
者
もの
にも
滅亡
ほろび
の
僕
しもべ
たる
狀
さま
より
解
と
かれて、
神
かみ
の
子
こ
たちの
光榮
くわうえい
の
自由
じいう
に
入
い
る
望󠄇
のぞみ
は
存
のこ
れり。
22
我
われ
らは
知
し
る、すべて
造󠄃
つく
られたるものの
今
いま
に
至
いた
るまで
共
とも
に
嘆
なげ
き、ともに
苦
くる
しむことを。
315㌻
23
然
しか
のみならず、
御靈
みたま
の
初
はじめ
の
實
み
をもつ
我
われ
らも
自
みづか
ら
心
こゝろ
のうちに
嘆
なげ
きて
子
こ
とせられんこと、
即
すなは
ちおのが
軆
からだ
の
贖
あがな
はれんことを
待
ま
つなり。
24
我
われ
らは
望󠄇
のぞみ
によりて
救
すく
はれたり、
眼
め
に
見
み
ゆる
望󠄇
のぞみ
は
望󠄇
のぞみ
にあらず、
人
ひと
その
見
み
るところを
爭
いか
でなほ
望󠄇
のぞ
まんや。
25
我等
われら
もし
其
そ
の
見
み
ぬところを
望󠄇
のぞ
まば、
忍󠄄耐
にんたい
をもて
之
これ
を
待
ま
たん。
〘229㌻〙
26
斯
かく
のごとく
御靈
みたま
も
我
われ
らの
弱󠄃
よわき
を
助
たす
けたまふ。
我
われ
らは
如何
いか
に
祈
いの
るべきかを
知
し
らざれども、
御靈
みたま
みづから
言
い
ひ
難
かた
き
歎
なげき
をもて
執成
とりな
し
給
たま
ふ。
27
また
人
ひと
の
心
こゝろ
を
極
きは
めたまふ
者
もの
は
御靈
みたま
の
念
おもひ
をも
知
し
りたまふ。
御靈
みたま
は
神
かみ
の
御意󠄃
みこゝろ
に
適󠄄
かな
ひて
聖󠄄徒
せいと
のために
執成
とりな
し
給
たま
へばなり。
28
神
かみ
を
愛
あい
する
者
もの
、すなはち
御旨
みむね
によりて
召
め
されたる
者
もの
の
爲
ため
には、
凡
すべ
てのこと
相
あひ
働
はたら
きて
益
えき
となるを
我
われ
らは
知
し
る。
29
神
かみ
は
預
あらか
じめ
知
し
りたまふ
者
もの
を
御子
みこ
の
像
かたち
に
象
かたど
らせんと
預
あらか
じめ
定
さだ
め
給
たま
へり。これ
多
おほ
くの
兄弟
きゃうだい
のうちに、
御子
みこ
を
嫡子
ちゃくし
たらせんが
爲
ため
なり。
30
又󠄂
また
その
預
あらか
じめ
定
さだ
めたる
者
もの
を
召
め
し、
召
め
したる
者
もの
を
義
ぎ
とし、
義
ぎ
としたる
者
もの
には
光榮
くわうえい
を
得
え
させ
給
たま
ふ。
31
然
さ
れば
此
これ
等
ら
の
事
こと
につきて
何
なに
をか
言
い
はん、
神
かみ
もし
我
われ
らの
味方
みかた
ならば、
誰
たれ
か
我
われ
らに
敵
てき
せんや。
32
己
おのれ
の
御子
みこ
を
惜
をし
まずして
我
われ
ら
衆
すべて
のために
付
わた
し
給
たま
ひし
者
もの
は、などか
之
これ
にそへて
萬物
ばんもつ
を
我
われ
らに
賜
たま
はざらんや。
33
誰
たれ
か
神
かみ
の
選󠄄
えら
び
給
たま
へる
者
もの
を
訴
うった
へん、
神
かみ
は
之
これ
を
義
ぎ
とし
給
たま
ふ。
34
誰
たれ
か
之
これ
を
罪
つみ
に
定
さだ
めん、
死
し
にて
甦
よみが
へり
給
たま
ひしキリスト・イエスは
神
かみ
の
右
みぎ
に
在
いま
して、
我
われ
らの
爲
ため
に
執成
とりな
し
給
たま
ふなり。
35
我等
われら
をキリストの
愛
あい
より
離
はな
れしむる
者
もの
は
誰
たれ
ぞ、
患難
なやみ
か、
苦難
くるしみ
か、
迫󠄃害󠄅
はくがい
か、
飢󠄄
うゑ
か、
裸
はだか
か、
危險
あやふき
か、
劍
つるぎ
か。
316㌻
36
錄
しる
して 『
汝
なんぢ
のために
我
われ
らは、
終󠄃日
ひねもす
、
殺
ころ
されて
屠
ほふ
らるべき
羊
ひつじ
の
如
ごと
きものと
爲
せ
られたり』とあるが
如
ごと
し。
37
然
さ
れど
凡
すべ
てこれらの
事
こと
の
中
うち
にありても、
我
われ
らを
愛
あい
したまふ
者
もの
に
賴
よ
り、
勝󠄃
か
ち
得
え
て
餘
あまり
あり。
38
われ
確
かた
く
信
しん
ず、
死
し
も
生命
いのち
も、
御使
みつかひ
も、
權威
けんゐ
ある
者
もの
も、
今
いま
ある
者
もの
も
後
のち
あらん
者
もの
も、
力
ちから
ある
者
もの
も、
39
高
たか
きも
深
ふか
きも、
此
こ
の
他
ほか
の
造󠄃
つく
られたるものも、
我
われ
らの
主
しゅ
キリスト・イエスにある
神
かみ
の
愛
あい
より、
我
われ
らを
離
はな
れしむるを
得
え
ざることを。
第9章
1
我
われ
キリストに
在
あ
りて
眞
まこと
をいひ
虛僞
いつはり
を
言
い
はず、
2
我
われ
に
大
おほい
なる
憂
うれひ
あることと
心
こゝろ
に
絕
た
えざる
痛
いたみ
あることとを
我
わ
が
良心
りゃうしん
も
聖󠄄
せい
靈
れい
によりて
證
あかし
す。
3
もし
我
わ
が
兄弟
きゃうだい
わが
骨肉
こつにく
の
爲
ため
にならんには、
我
われ
みづから
詛
のろ
はれてキリストに
棄
す
てらるるも
亦
また
ねがふ
所󠄃
ところ
なり。
4
彼
かれ
等
ら
はイスラエル
人
びと
にして、
彼
かれ
らには
神
かみ
の
子
こ
とせられたることと、
榮光
えいくわう
と、もろもろの
契約
けいやく
と、
授
さづ
けられたる
律法
おきて
と、
禮拜
れいはい
と、もろもろの
約束
やくそく
とあり。
5
先祖
せんぞ
たちも
彼
かれ
等
ら
のものなり、
肉
にく
によれば、キリストも
彼
かれ
等
ら
より
出
い
で
給
たま
ひたり。《[*]》キリストは
萬物
ばんもつ
の
上
うへ
にあり、
永遠󠄄
とこしへ
に
讃
ほ
むべき
神
かみ
なり、アァメン。[*或は「萬物の上に在す神は永遠󠄄に讃むベきかな」と譯す。]
6
それ
神
かみ
の
言
ことば
は
廢
すた
りたるに
非
あら
ず。イスラエルより
出
い
づる
者
もの
みなイスラエルなるに
非
あら
ず。
〘230㌻〙
7
また
彼
かれ
等
ら
はアブラハムの
裔
すゑ
なればとて
皆
みな
その
子
こ
たるに
非
あら
ず『イサクより
出
い
づる
者
もの
は、なんぢの
裔
すゑ
と
稱
とな
へらるべし』とあり。
8
即
すなは
ち
肉
にく
の
子
こ
らは
神
かみ
の
子
こ
らにあらず、ただ
約束
やくそく
の
子
こ
等
ら
のみ
其
そ
の
裔
すゑ
と
認󠄃
みと
めらるるなり。
9
約束
やくそく
の
御言
みことば
は
是
これ
なり、
曰
いは
く『
時
とき
ふたたび
巡󠄃
めぐ
り
來
きた
らば、
我
われ
きたりてサラに
男子
なんし
あらん』と。
10
然
しか
のみならず、レベカも
我
われ
らの
先祖
せんぞ
イサク
一人
ひとり
によりて
孕
みごも
りたる
時
とき
、
11
その
子
こ
いまだ
生
うま
れず、
善
ぜん
も
惡
あく
もなさぬ
間
うち
に、
神
かみ
の
選󠄄
えらび
の
御旨
みむね
は
動
うご
かず、
12
行爲
おこなひ
によらで
召
め
す
者
もの
によらん
爲
ため
に『
兄
あに
は
次弟
おとうと
に
事
つか
ふべし』と、レベカに
宣
のたま
へり。
317㌻
13
『われヤコブを
愛
あい
しエザウを
憎
にく
めり』と
錄
しる
されたる
如
ごと
し。
14
然
さ
らば
何
なに
をか
言
い
はん、
神
かみ
には
不義
ふぎ
あるか。
決
けっ
して
然
しか
らず。
15
モーセに
言
い
ひ
給
たま
ふ『われ
憐
あはれ
まんとする
者
もの
をあはれみ、
慈悲
じひ
を
施
ほどこ
さんとする
者
もの
に
慈悲
じひ
を
施
ほどこ
すべし』と。
16
されば
欲
ほっ
する
者
もの
にも
由
よ
らず、
走
はし
る
者
もの
にも
由
よ
らず、ただ
憐
あはれ
みたまふ
神
かみ
に
由
よ
るなり。
17
パロにつきて
聖󠄄書
せいしょ
に
言
い
ひ
給
たま
ふ『わが
汝
なんぢ
を
起󠄃
おこ
したるは
此
こ
の
爲
ため
なり、
即
すなは
ち
我
わ
が
能力
ちから
を
汝
なんぢ
によりて
顯
あらは
し、
且
かつ
わが
名
な
の
全󠄃世界
ぜんせかい
に
傳
つた
へられん
爲
ため
なり』と。
18
されば
神
かみ
はその
憐
あはれ
まんと
欲
ほっ
する
者
もの
を
憐
あはれ
み、その
頑固
かたくな
にせんと
欲
ほっ
する
者
もの
を
頑固
かたくな
にし
給
たま
ふなり。
19
然
さ
らば
汝
なんぢ
あるいは
我
われ
に
言
い
はん『
神
かみ
なんぞなほ
人
ひと
を
咎
とが
め
給
たま
ふか、
誰
たれ
かその
御定
みさだめ
に
悖
もと
る
者
もの
あらん』
20
ああ
人
ひと
よ、なんぢ
誰
たれ
なれば
神
かみ
に
言
い
ひ
逆󠄃
さから
ふか、
造󠄃
つく
られしもの、
造󠄃
つく
りたる
者
もの
に
對
むか
ひて『なんぢ
何
なに
ぞ
我
われ
を
斯
か
く
造󠄃
つく
りし』と
言
い
ふべきか。
21
陶工
すゑつくり
は
同
おな
じ
土塊
つちくれ
をもて
此
これ
を
貴
たふと
きに
用
もち
ふる
器
うつは
とし、
彼
かれ
を
賤
いや
しきに
用
もち
ふる
器
うつは
とするの
權
けん
なからんや。
22
もし
神
かみ
、
怒
いかり
をあらはし
權力
ちから
を
示
しめ
さんと
思
おぼ
しつつも、なほ
大
おほい
なる
寛容
くわんよう
をもて、
滅亡
ほろび
に
備
そなは
れる
怒
いかり
の
器
うつは
を
忍󠄄
しの
び、
23
また
光榮
くわうえい
のために
預
あらか
じめ
備
そな
へ
給
たま
ひし
憐憫
あはれみ
の
器
うつは
に
對
むか
ひて、その
榮光
えいくわう
の
富
とみ
を
示
しめ
さんとし
給
たま
ひしならば
如何
いか
に。
24
この
憐憫
あはれみ
の
器
うつは
は
我等
われら
にしてユダヤ
人
びと
の
中
うち
よりのみならず、
異邦人
いはうじん
の
中
うち
よりも
召
め
し
給
たま
ひしものなり。
25
ホゼヤの
書
ふみ
に 『
我
われ
わが
民
たみ
たらざる
者
もの
を
我
わ
が
民
たみ
と
呼
よ
び、
愛
あい
せられざる
者
もの
を
愛
あい
せらるる
者
もの
と
呼
よ
ばん、
26
「なんぢら
我
わ
が
民
たみ
にあらず」と
言
い
ひし
處
ところ
にて、
彼
かれ
らは
活
い
ける
神
かみ
の
子
こ
と
呼
よ
ばるべし』と
宣
のたま
へる
如
ごと
し。
318㌻
27
イザヤもイスラエルに
就
つ
きて
叫
さけ
べり『イスラエルの
子孫
しそん
の
數
かず
は
海
うみ
の
砂
すな
のごとくなりとも
救
すく
はるるは、ただ
殘
のこり
の
者
もの
のみならん。
〘231㌻〙
28
主
しゅ
、
地
ち
の
上
うへ
に
御言
みことば
をなし
了
を
へ、これを
遂󠄅
と
げ、これを
速󠄃
すみや
かにし
給
たま
はん』
29
また 『
萬軍
ばんぐん
の
主
しゅ
、われらに
裔
すゑ
を
遺󠄃
のこ
し
給
たま
はずば、
我等
われら
ソドムの
如
ごと
くになり、ゴモラと
等
ひと
しかりしならん』とイザヤの
預言
よげん
せしが
如
ごと
し。
30
然
さ
らば
何
なに
をか
言
い
はん、
義
ぎ
を
追󠄃
お
ひ
求
もと
めざりし
異邦人
いはうじん
は
義
ぎ
を
得
え
たり、
即
すなは
ち
信仰
しんかう
による
義
ぎ
なり。
31
イスラエルは
義
ぎ
の
律法
おきて
を
追󠄃
お
ひ
求
もと
めたれど、その
律法
おきて
に
到
いた
らざりき。
32
何
なに
の
故
ゆゑ
か、かれらは
信仰
しんかう
によらず、
行爲
おこなひ
によりて
追󠄃
おひ
求
もと
めたる
故
ゆゑ
なり。
彼
かれ
らは
躓
つまづ
く
石
いし
に
躓
つまづ
きたり。
33
錄
しる
して 『
視
み
よ、
我
われ
つまづく
石
いし
、
礙
さまた
ぐる
岩
いは
をシオンに
置
お
く、
之
これ
に
依賴
よりたの
む
者
もの
は
辱
はづか
しめられじ』とあるが
如
ごと
し。
第10章
1
兄弟
きゃうだい
よ、わが
心
こゝろ
のねがひ、
神
かみ
に
對
たい
する
祈
いのり
は、
彼
かれ
らの
救
すく
はれんことなり。
2
われ
彼
かれ
らが
神
かみ
のために
熱心
ねっしん
なることを
證
あかし
す、されど
其
そ
の
熱心
ねっしん
は
知識
ちしき
によらざるなり。
3
それは
神
かみ
の
義
ぎ
を
知
し
らず、
己
おのれ
の
義
ぎ
を
立
た
てんとして、
神
かみ
の
義
ぎ
に
服󠄃
したが
はざればなり。
4
キリストは
凡
すべ
て
信
しん
ずる
者
もの
の
義
ぎ
とせられん
爲
ため
に
律法
おきて
の
終󠄃
をはり
となり
給
たま
へり。
5
モーセは、
律法
おきて
による
義
ぎ
をおこなふ
人
ひと
は
之
これ
によりて
生
い
くべしと
錄
しる
したり。
6
然
さ
れど
信仰
しんかう
による
義
ぎ
は
斯
か
くいふ『なんぢ
心
こゝろ
に「
誰
たれ
か
天
てん
に
昇
のぼ
らん」と
言
い
ふなかれ』と。
7
これキリストを
引下
ひきおろ
さんとするなり『また「たれか
底
そこ
なき
所󠄃
ところ
に
下
くだ
らん」と
言
い
ふなかれ』と。
是
これ
キリストを
死人
しにん
の
中
うち
より
引上
ひきあ
げんとするなり。
8
さらば
何
なに
と
言
い
ふか『
御言
みことば
は、なんぢに
近󠄃
ちか
し、なんぢの
口
くち
にあり、
汝
なんぢ
の
心
こゝろ
にあり』と。これ
我
われ
らが
宣
の
ぶる
信仰
しんかう
の
言
ことば
なり。
9
即
すなは
ち、なんぢ
口
くち
にてイエスを
主
しゅ
と
言
い
ひあらはし、
心
こゝろ
にて
神
かみ
の
之
これ
を
死人
しにん
の
中
うち
より
甦
よみが
へらせ
給
たま
ひしことを
信
しん
ぜば、
救
すく
はるべし。
319㌻
10
それ
人
ひと
は
心
こゝろ
に
信
しん
じて
義
ぎ
とせられ、
口
くち
に
言
い
ひあらはして
救
すく
はるるなり。
11
聖󠄄書
せいしょ
にいふ『すべて
彼
かれ
を
信
しん
ずる
者
もの
は
辱
はづか
しめられじ』と。
12
ユダヤ
人
びと
とギリシヤ
人
びと
との
區別
わかち
なし、
同一
どういつ
の
主
しゅ
は
萬民
ばんみん
の
主
しゅ
にましまして、
凡
すべ
て
呼
よ
び
求
もと
むる
者
もの
に
對
たい
して
豐
ゆたか
なり。
13
『すべて
主
しゅ
の
御名
みな
を
呼
よ
び
求
もと
むる
者
もの
は
救
すく
はるべし』とあればなり。
14
然
さ
れど
未
いま
だ
信
しん
ぜぬ
者
もの
を
爭
いか
で
呼
よ
び
求
もと
むることをせん、
未
いま
だ
聽
き
かぬ
者
もの
を
爭
いか
で
信
しん
ずることをせん、
宣傳
のべつた
ふる
者
もの
なくば
爭
いか
で
聽
き
くことをせん。
〘232㌻〙
15
遣󠄃
つかは
されずば
爭
いか
で
宣傳
のべつた
ふることを
爲
せ
ん『ああ
美
うるわ
しきかな、
善
よ
き
事
こと
を
吿
つ
ぐる
者
もの
の
足
あし
よ』と
錄
しる
されたる
如
ごと
し。
16
然
さ
れど、みな
福音󠄃
ふくいん
に
從
したが
ひしにはあらず、イザヤいふ『
主
しゅ
よ、われらに
聞
き
きたる
言
こと
を
誰
たれ
か
信
しん
ぜし』
17
斯
か
く
信仰
しんかう
は
聞
き
くにより、
聞
き
くはキリストの
言
ことば
による。
18
されど
我
われ
いふ、
彼
かれ
ら
聞
きこ
えざりしか、
然
しか
らず 『その
聲
こゑ
は
全󠄃地
ぜんち
にゆきわたり、
其
そ
の
言
ことば
は
世界
せかい
の
極
はて
にまで
及
およ
べり』
19
我
われ
また
言
い
ふ、イスラエルは
知
し
らざりしか、
先
ま
づモーセ
言
い
ふ『われ
民
たみ
ならぬ
者
もの
をもて
汝
なんぢ
らに
嫉
ねたみ
を
起󠄃
おこ
させ、
愚
おろか
なる
民
たみ
をもて
汝
なんぢ
らを
怒
いか
らせん』
20
またイザヤ
憚
はゞか
らずして
言
い
ふ 『
我
われ
を
求
もと
めざる
者
もの
に、われ
見出
みいだ
され、
我
われ
を
尋󠄃
たづ
ねざる
者
もの
に
我
われ
あらはれたり』
21
更
さら
にイスラエルに
就
つ
きては『われ
服󠄃
したが
はずして
言
い
ひさからふ
民
たみ
に
終󠄃日
ひねもす
手
て
を
伸
の
べたり』と
云
い
へり。
第11章
1
然
さ
れば
我
われ
いふ、
神
かみ
はその
民
たみ
を
棄
す
て
給
たま
ひしか。
決
けっ
して
然
しか
らず。
我
われ
もイスラエル
人
びと
にしてアブラハムの
裔
すゑ
ベニヤミンの
族
やから
の
者
もの
なり。
2
神
かみ
はその
預
あらか
じめ
知
し
り
給
たま
ひし
民
たみ
を
棄
す
て
給
たま
ひしにあらず。
汝
なんぢ
らエリヤに
就
つ
きて
聖󠄄書
せいしょ
に
云
い
へることを
知
し
らぬか、
彼
かれ
イスラエルを
神
かみ
に
訴
うった
へて
言
い
ふ、
3
『
主
しゅ
よ、
彼
かれ
らは
汝
なんぢ
の
預言者
よげんしゃ
たちを
殺
ころ
し、なんぢの
祭壇
さいだん
を
毀
こぼ
ち、
我
われ
ひとり
遺󠄃
のこ
りたるに、
亦
また
わが
生命
いのち
をも
求
もと
めんとするなり』と。
320㌻
4
然
しか
るに
御答
みこたへ
は
何
なに
と
云
い
へるか『われバアルに
膝
ひざ
を
屈
かが
めぬ
者
もの
、
七
しち
千
せん
人
にん
を
我
わ
がために
遺󠄃
のこ
し
置
お
けり』と。
5
斯
かく
のごとく
今
いま
もなほ
恩惠
めぐみ
の
選󠄄
えらび
によりて
遺󠄃
のこ
れる
者
もの
あり。
6
もし
恩惠
めぐみ
によるとせば、もはや
行爲
おこなひ
によるにあらず。
然
しか
らずば
恩惠
めぐみ
は、もはや
恩惠
めぐみ
たらざるべし。
7
然
さ
らば
如何
いか
に、イスラエルはその
求
もと
むる
所󠄃
ところ
を
得
え
ず、
選󠄄
えら
ばれたる
者
もの
は
之
これ
を
得
え
たり、その
他
ほか
の
者
もの
は
鈍
にぶ
くせられたり。
8
『
神
かみ
は
今日
こんにち
に
至
いた
るまで
彼
かれ
らに
眠
ねむ
れる
心
こゝろ
、
見
み
えぬ
目
め
、
聞
きこ
えぬ
耳
みゝ
を
與
あた
へ
給
たま
へり』と
錄
しる
されたるが
如
ごと
し。
9
ダビデも
亦
また
いふ 『かれらの
食󠄃卓
しょくたく
は
羂
わな
となれ、
網
あみ
となれ、
躓物
つまづき
となれ、
報
むくい
となれ、
10
その
眼
め
は
眩
くら
みて
見
み
えずなれ、
常
つね
にその
背
せ
を
屈
かゞ
めしめ
給
たま
へ』
11
然
さ
れば
我
われ
いふ、
彼
かれ
らの
躓
つまづ
きしは
倒
たふ
れんが
爲
ため
なりや。
決
けっ
して
然
しか
らず、
反
かへ
つて
其
そ
の
落度
おちど
によりて
救
すくひ
は
異邦人
いはうじん
に
及
およ
べり、これイスラエルを
勵
はげ
まさん
爲
ため
なり。
12
もし
彼
かれ
らの
落度
おちど
、
世
よ
の
富
とみ
となり、その
衰微
おとろへ
、
異邦人
いはうじん
の
富
とみ
となりたらんには、
况
まし
て
彼
かれ
らの
數
かず
滿
み
つるに
於
おい
てをや。
〘233㌻〙
13
われ
異邦人
いはうじん
なる
汝
なんぢ
等
ら
にいふ、
我
われ
は
異邦人
いはうじん
の
使徒
しと
たるによりて
己
おの
が
職
つとめ
を
重
おも
んず。
14
これ
或
あるひ
は
我
わ
が
骨肉
こつにく
の
者
もの
を
勵
はげ
まし、その
中
うち
の
幾許
いくばく
かを
救
すく
はん
爲
ため
なり。
15
もし
彼
かれ
らの
棄
す
てらるること
世
よ
の
平󠄃和
へいわ
となりたらんには、
其
そ
の
受
う
け
納󠄃
い
れらるるは、
死人
しにん
の
中
うち
より
活
い
くると
等
ひと
しからずや。
16
もし
初穗
はつほ
の
粉
こな
潔󠄄
きよ
くば、パンの
團塊
かたまり
も
潔󠄄
きよ
く、
樹
き
の
根
ね
潔󠄄
きよ
くば、その
枝
えだ
も
潔󠄄
きよ
からん。
17
若
も
しオリブの
幾許
いくばく
の
枝
えだ
きり
落
おと
されて、
野
の
のオリブなる
汝
なんぢ
その
中
うち
に
接
つ
がれ、
共
とも
にその
樹
き
の
液汁
うるほひ
ある
根
ね
に
與
あづか
らば、
18
かの
枝
えだ
に
對
むか
ひて
誇
ほこ
るな、たとひ
誇
ほこ
るとも
汝
なんぢ
は
根
ね
を
支
さゝ
へず、
根
ね
は
反
かへ
つて
汝
なんぢ
を
支
さゝ
ふるなり。
19
なんぢ
或
あるひ
は
言
い
はん『
枝
えだ
の
折
を
られしは
我
わ
が
接
つ
がれん
爲
ため
なり』と。
321㌻
20
實
げ
に
然
しか
り、
彼
かれ
らは
不
ふ
信
しん
によりて
折
を
られ、
汝
なんぢ
は
信仰
しんかう
によりて
立
た
てるなり、
高
たか
ぶりたる
思
おもひ
をもたず、
反
かへ
つて
懼
おそ
れよ。
21
もし
神
かみ
、
原
もと
樹
き
の
枝
えだ
を
惜
をし
み
給
たま
はざりしならば、
汝
なんぢ
をも
惜
をし
み
給
たま
はじ。
22
神
かみ
の
仁慈
なさけ
と、その
嚴肅
きびしき
とを
見
み
よ。
嚴肅
きびしき
は
倒
たふ
れし
者
もの
にあり、
仁慈
なさけ
はその
仁慈
なさけ
に
止
とゞま
る
汝
なんぢ
にあり、
若
も
しその
仁慈
なさけ
に
止
とゞま
らずば、
汝
なんぢ
も
切
き
り
取
と
らるべし。
23
彼
かれ
らも
若
も
し
不
ふ
信
しん
に
止
とゞま
らずば、
接
つ
がるることあらん、
神
かみ
は
再
ふたゝ
び
彼
かれ
らを
接
つ
ぎ
得給
えたま
ふなり。
24
なんぢ
生來
せいらい
の
野
の
のオリブより
切
き
り
取
と
られ、その
生來
せいらい
に
悖
もと
りて
善
よ
きオリブに
接
つ
がれたらんには、
况
まし
て
原
もと
樹
き
のままなる
枝
えだ
は
己
おの
がオリブに
接
つ
がれざらんや。
25
兄弟
きゃうだい
よ、われ
汝
なんぢ
らが
自己
みづから
を
聰
さと
しとする
事
こと
なからん
爲
ため
に、この
奧義
おくぎ
を
知
し
らざるを
欲
ほっ
せず、
即
すなは
ち
幾許
いくばく
のイスラエルの
鈍
にぶ
くなれるは、
異邦人
いはうじん
の
入
い
り
來
きた
りて
數
かず
滿
み
つるに
及
およ
ぶ
時
とき
までなり。
26
斯
かく
してイスラエルは
悉
ことご
とく
救
すく
はれん。
錄
しる
して 『
救
すく
ふ
者
もの
シオンより
出
い
で
來
きた
りて、 ヤコブより
不虔
ふけん
を
取
と
り
除
のぞ
かん、
27
我
われ
その
罪
つみ
を
除
のぞ
くときに
彼
かれ
らに
立
た
つる
我
わ
が
契約
けいやく
は
是
これ
なり』とあるが
如
ごと
し。
28
福音󠄃
ふくいん
につきて
云
い
へば、
汝
なんぢ
等
ら
のために
彼
かれ
らは
敵
てき
とせられ、
選󠄄
えらび
につきて
云
い
へば、
先祖
せんぞ
たちの
爲
ため
に
彼
かれ
らは
愛
あい
せらるるなり。
29
それ
神
かみ
の
賜物
たまもの
と
召
めし
とは
變
かは
ることなし。
30
汝
なんぢ
ら
前󠄃
さき
には
神
かみ
に
從
したが
はざりしが、
今
いま
は
彼
かれ
らの
不順
ふじゅん
によりて
憐
あはれ
まれたる
如
ごと
く、
31
彼
かれ
らも
汝
なんぢ
らの
受
う
くる
憐憫
あはれみ
によりて
憐
あはれ
まれん
爲
ため
に
今
いま
は
從
したが
はざるなり。
32
神
かみ
は
凡
すべ
ての
人
ひと
を
憐
あはれ
まんために
凡
すべ
ての
人
ひと
を
不順
ふじゅん
の
中
うち
に
取籠
とりこ
め
給
たま
ひたり。
〘234㌻〙
33
ああ
神
かみ
の
智慧󠄄
ちゑ
と
知識
ちしき
との
富
とみ
は
深
ふか
いかな、その
審判󠄄
さばき
は
測
はか
り
難
がた
く、その
途󠄃
みち
は
尋󠄃
たづ
ね
難
かた
し。
34
『たれか
主
しゅ
の
心
こゝろ
を
知
し
りし、
誰
たれ
かその
議士
はかりびと
となりし。
35
たれか
先
ま
づ
主
しゅ
に
與
あた
へて
其
そ
の
報
むくい
を
受
う
けんや』
322㌻
36
これ
凡
すべ
ての
物
もの
は
神
かみ
より
出
い
で
神
かみ
によりて
成
な
り、
神
かみ
に
歸
き
すればなり、
榮光
えいくわう
とこしへに
神
かみ
にあれ。アァメン。
第12章
1
されば
兄弟
きゃうだい
よ、われ
神
かみ
のもろもろの
慈悲
じひ
によりて
汝
なんぢ
らに
勸
すゝ
む、
己
おの
が
身
み
を
神
かみ
の
悅
よろこ
びたまふ
潔󠄄
きよ
き
活
い
ける
供物
そなへもの
として
獻
さゝ
げよ、これ
靈
れい
の
祭
まつり
なり。
2
又󠄂
また
この
世
よ
に
效
なら
ふな、
神
かみ
の
御意󠄃
みこゝろ
の
善
ぜん
にして
悅
よろこ
ぶべく、かつ
全󠄃
まった
きことを
辨
わきま
へ
知
し
らんために
心
こゝろ
を
更
か
へて
新
あらた
にせよ。
3
われ
與
あた
へられし
恩惠
めぐみ
によりて、
汝
なんぢ
等
ら
おのおのに
吿
つ
ぐ、
思
おも
ふべき
所󠄃
ところ
を
超
こ
えて
自己
みづから
を
高
たか
しとすな。
神
かみ
のおのおのに
分󠄃
わか
ち
給
たま
ひし
信仰
しんかう
の
量
はかり
にしたがひ
愼
つゝし
みて
思
おも
ふべし。
4
人
ひと
は
一
ひと
つ
體
からだ
におほくの
肢
えだ
あれども、
凡
すべ
ての
肢
えだ
その
運󠄃用
はたらき
を
同
おな
じうせぬ
如
ごと
く、
5
我
われ
らも
多
おほ
くあれど、キリストに
在
あ
りて
一
ひと
つ
體
からだ
にして
各人
おのおの
たがひに
肢
えだ
たるなり。
6
われらが
有
も
てる
賜物
たまもの
はおのおの
與
あた
へられし
恩惠
めぐみ
によりて
異
こと
なる
故
ゆゑ
に、
或
あるひ
は
預言
よげん
あらば
信仰
しんかう
の
量
はかり
にしたがひて
預言
よげん
をなし、
7
或
あるひ
は
務
つとめ
あらば
務
つとめ
をなし、
或
あるひ
は
敎
をしへ
をなす
者
もの
は
敎
をしへ
をなし、
8
或
あるひ
は
勸
すゝめ
をなす
者
もの
は
勸
すゝめ
をなし、
施
ほどこ
す
者
もの
はをしみなく
施
ほどこ
し、
治
をさ
むる
者
もの
は
心
こゝろ
を
盡
つく
して
治
をさ
め、
憐憫
あはれみ
をなす
者
もの
は
喜
よろこ
びて
憐憫
あはれみ
をなすべし。
9
愛
あい
には
虛僞
いつはり
あらざれ、
惡
あく
はにくみ、
善
ぜん
はしたしみ、
10
兄弟
きゃうだい
の
愛
あい
をもて
互
たがひ
に
愛
いつく
しみ、
禮儀
れいぎ
をもて
相
あひ
讓
ゆず
り、
11
勤
つと
めて
怠
おこた
らず、
心
こゝろ
を
熱
あつ
くし、
主
しゅ
につかへ、
12
望󠄇
のぞ
みて
喜
よろこ
び、
患難
なやみ
にたへ、
祈
いのり
を
恆
つね
にし、
13
聖󠄄徒
せいと
の
缺乏
とぼしき
を
賑
にぎは
し、
旅人
たびびと
を
懇
ねんご
ろに
待
もてな
せ、
14
汝
なんぢ
らを
責
せ
むる
者
もの
を
祝
しく
し、これを
祝
しく
して
詛
のろ
ふな。
323㌻
15
喜
よろこ
ぶ
者
もの
と
共
とも
によろこび、
泣
な
く
者
もの
と
共
とも
になけ。
16
相
あひ
互
たがひ
に
心
こゝろ
を
同
おな
じうし、
高
たか
ぶりたる
思
おもひ
をなさず、
反
かへ
つて
卑
ひく
きに
附
つ
け。なんぢら
己
おのれ
を
聰
さと
しと
爲
す
な。
17
惡
あく
をもて
惡
あく
に
報
むく
いず、
凡
すべ
ての
人
ひと
のまへに
善
よ
からんことを
圖
はか
り、
18
汝
なんぢ
らの
爲
な
し
得
う
るかぎり
力
つと
めて
凡
すべ
ての
人
ひと
と
相
あひ
和
やはら
げ。
19
愛
あい
する
者
もの
よ、
自
みづか
ら
復讐
ふくしう
すな、ただ《[*]》
神
かみ
の
怒
いかり
に
任
まか
せまつれ。
錄
しる
して『
主
しゅ
いひ
給
たま
ふ、
復讐
ふくしう
するは
我
われ
にあり
我
われ
これに
報
むく
いん』とあり。[*或は「その怒るに任せよ」と譯す。]
20
『もし
汝
なんぢ
の
仇
あた
飢󠄄
う
ゑなば
之
これ
に
食󠄃
く
はせ、
渇
かわ
かば
之
これ
に
飮
の
ませよ、なんぢ
斯
かく
するは
熱
あつ
き
火
ひ
を
彼
かれ
の
頭
かうべ
に
積
つ
むなり』
21
惡
あく
に
勝󠄃
か
たるることなく、
善
ぜん
をもて
惡
あく
に
勝󠄃
か
て。
〘235㌻〙
第13章
1
凡
すべ
ての
人
ひと
、
上
うへ
にある
權威
けんゐ
に
服󠄃
したが
ふべし。そは
神
かみ
によらぬ
權威
けんゐ
なく、あらゆる
權威
けんゐ
は
神
かみ
によりて
立
た
てらる。
2
この
故
ゆゑ
に
權威
けんゐ
にさからふ
者
もの
は
神
かみ
の
定
さだめ
に
悖
もと
るなり、
悖
もと
る
者
もの
は
自
みづか
らその
審判󠄄
さばき
を
招
まね
かん。
3
長
をさ
たる
者
もの
は
善
よ
き
業
わざ
の
懼
おそれ
にあらず、
惡
あ
しき
業
わざ
の
懼
おそれ
なり、なんぢ
權威
けんゐ
を
懼
おそ
れざらんとするか、
善
ぜん
をなせ、
然
さ
らば
彼
かれ
より
譽
ほまれ
を
得
え
ん。
4
かれは
汝
なんぢ
を
益
えき
せんための
神
かみ
の
役者
えきしゃ
なり。
然
さ
れど
惡
あく
をなさば
懼
おそ
れよ、
彼
かれ
は
徒
いたづ
らに
劍
つるぎ
をおびず、
神
かみ
の
役者
えきしゃ
にして
惡
あく
をなす
者
もの
に
怒
いかり
をもて
報
むく
ゆるなり。
5
然
さ
れば
服󠄃
したが
はざるべからず、
啻
たゞ
に
怒
いかり
の
爲
ため
のみならず、
良心
りゃうしん
のためなり。
6
また
之
これ
がために
汝
なんぢ
ら
貢
みつぎ
を
納󠄃
をさ
む、
彼
かれ
らは
神
かみ
の
仕人
つかへびと
にして
此
こ
の
職
つとめ
に
勵
はげ
むなり。
7
汝
なんぢ
等
ら
その
負󠄅債
おひめ
をおのおのに
償
つくの
へ、
貢
みつぎ
を
受
う
くべき
者
もの
に
貢
みつぎ
ををさめ、
税
ぜい
を
受
う
くべき
者
もの
に
税
ぜい
ををさめ、
畏
おそ
るべき
者
もの
をおそれ、
尊󠄅
たふと
ぶべき
者
もの
をたふとべ。
8
汝
なんぢ
等
ら
たがひに
愛
あい
を
負󠄅
お
ふのほか
何
なに
をも
人
ひと
に
負󠄅
お
ふな。
人
ひと
を
愛
あい
する
者
もの
は
律法
おきて
を
全󠄃
まった
うするなり。
9
それ『
姦淫
かんいん
する
勿
なか
れ、
殺
ころ
すなかれ、
盜
ぬす
むなかれ、
貪
むさぼ
るなかれ』と
云
い
へるこの
他
ほか
なほ
誡命
いましめ
ありとも『おのれの
如
ごと
く
隣
となり
を
愛
あい
すべし』といふ
言
ことば
の
中
うち
にみな
籠
こも
るなり。
324㌻
10
愛
あい
は
隣
となり
を
害󠄅
そこな
はず、この
故
ゆゑ
に
愛
あい
は
律法
おきて
の
完全󠄃
まったき
なり。
11
なんぢら
時
とき
を
知
し
る
故
ゆゑ
に、いよいよ
然
しか
なすべし。
今
いま
は
眠
ねむり
より
覺
さ
むべき
時
とき
なり。
始
はじ
めて
信
しん
ぜし
時
とき
よりも
今
いま
は
我
われ
らの
救
すくひ
近󠄃
ちか
ければなり。
12
夜
よ
ふけて
日
ひ
近󠄃
ちか
づきぬ、
然
さ
れば
我
われ
ら
暗󠄃黑
くらき
の
業
わざ
をすてて
光明
ひかり
の
甲
よろひ
を
著
き
るべし。
13
晝
ひる
のごとく
正
たゞ
しく
步
あゆ
みて
宴樂
えんらく
・
醉酒
すゐしゅ
に、
淫樂
いんらく
・
好色
かうしょく
に、
爭鬪
あらそひ
・
嫉妬
ねたみ
に
步
あゆ
むべきに
非
あら
ず。
14
ただ
汝
なんぢ
ら
主
しゅ
イエス・キリストを
衣
き
よ、
肉
にく
の
慾
よく
のために
備
そなへ
すな。
第14章
1
なんぢら
信仰
しんかう
の
弱󠄃
よわ
き
者
もの
を
容
い
れよ、その
思
おも
ふところを
詰
なじ
るな。
2
或
ある
人
ひと
は
凡
すべ
ての
物
もの
を
食󠄃
くら
ふを
可
よ
しと
信
しん
じ、
弱󠄃
よわ
き
人
ひと
はただ
野菜
やさい
を
食󠄃
くら
ふ。
3
食󠄃
くら
ふ
者
もの
は
食󠄃
くら
はぬ
者
もの
を
蔑
なみ
すべからず、
食󠄃
くら
はぬ
者
もの
は
食󠄃
くら
ふ
者
もの
を
審
さば
くべからず、
神
かみ
は
彼
かれ
を
容
い
れ
給
たま
へばなり。
4
なんぢ
如何
いか
なる
者
もの
なれば、
他人
たにん
の
僕
しもべ
を
審
さば
くか、
彼
かれ
が
立
た
つも
倒
たふ
るるも
其
そ
の
主人
しゅじん
に
由
よ
れり。
彼
かれ
は
必
かなら
ず
立
た
てられん、
主
しゅ
は
能
よ
く
之
これ
を
立
た
たせ
給
たま
ふべし。
5
或
ある
人
ひと
は
此
こ
の
日
ひ
を
彼
か
の
日
ひ
に
勝󠄃
まさ
ると
思
おも
ひ、
或
ある
人
ひと
は
凡
すべ
ての
日
ひ
を
等
ひと
しとおもふ、
各人
おのおの
おのが
心
こゝろ
の
中
うち
に
確
かた
く
定
さだ
むべし。
6
日
ひ
を
重
おも
んずる
者
もの
は
主
しゅ
のために
之
これ
を
重
おも
んず。
食󠄃
くら
ふ
者
もの
は
主
しゅ
のために
食󠄃
くら
ふ、これ
神
かみ
に
感謝
かんしゃ
すればなり。
食󠄃
くら
はぬ
者
もの
も
主
しゅ
のために
食󠄃
くら
はず、かつ
神
かみ
に
感謝
かんしゃ
するなり。
〘236㌻〙
7
我等
われら
のうち
己
おのれ
のために
生
い
ける
者
もの
なく、
己
おのれ
のために
死
し
ぬる
者
もの
なし。
8
われら
生
い
くるも
主
しゅ
のために
生
い
き、
死
し
ぬるも
主
しゅ
のために
死
し
ぬ。
然
さ
れば
生
い
くるも
死
し
ぬるも
我
われ
らは
主
しゅ
の
有
もの
なり。
9
それキリストの
死
し
にて
復
また
生
い
き
給
たま
ひしは、
死
し
にたる
者
もの
と
生
い
ける
者
もの
との
主
しゅ
とならん
爲
ため
なり。
10
なんぢ
何
なに
ぞその
兄弟
きゃうだい
を
審
さば
くか、
汝
なんぢ
なんぞ
其
そ
の
兄弟
きゃうだい
を
蔑
なみ
するか、
我等
われら
はみな
神
かみ
の
審判󠄄
さばき
の
座
ざ
の
前󠄃
まへ
に
立
た
つべし。
325㌻
11
錄
しる
して 『
主
しゅ
いひ
給
たま
ふ、
我
われ
は
生
い
くるなり、
凡
すべ
ての
膝
ひざ
は、わが
前󠄃
まへ
に
屈
かゞ
み、
凡
すべ
ての
舌
した
は、
神
かみ
を
讃
ほめ
稱
たゝ
へん』とあり。
12
我等
われら
おのおの
神
かみ
のまへに
己
おのれ
の
事
こと
を
陳
の
ぶべし。
13
然
さ
れば
今
いま
より
後
のち
、われら
互
たがひ
に
審
さば
くべからず、
寧
むし
ろ
兄弟
きゃうだい
のまへに
妨碍
さまたげ
または
躓物
つまづき
を
置
お
かぬように
心
こゝろ
を
決
さだ
めよ。
14
われ
如何
いか
なる
物
もの
も
自
みづか
ら
潔󠄄
きよ
からぬ
事
こと
なきを
主
しゅ
イエスに
在
あ
りて
知
し
り、かつ
確
かた
く
信
しん
ず。ただ
潔󠄄
きよ
からずと
思
おも
ふ
人
ひと
にのみ
潔󠄄
きよ
からぬなり。
15
もし
食󠄃物
しょくもつ
によりて
兄弟
きゃうだい
を
憂
うれ
ひしめば、
汝
なんぢ
は
愛
あい
によりて
步
あゆ
まざるなり、キリストの
代
かわ
りて
死
し
に
給
たま
ひし
人
ひと
を
汝
なんぢ
の
食󠄃物
しょくもつ
によりて
亡
ほろぼ
すな。
16
汝
なんぢ
らの
善
よ
きことの
譏
そし
られぬやうに
爲
せ
よ。
17
それ
神
かみ
の
國
くに
は
飮食󠄃
いんしょく
にあらず、
義
ぎ
と
平󠄃和
へいわ
と
聖󠄄
せい
靈
れい
によれる
歡喜
よろこび
とに
在
あ
るなり。
18
斯
かく
してキリストに
事
つか
ふる
者
もの
は
神
かみ
に
悅
よろこ
ばれ、
人々
ひとびと
に
善
よ
しと
爲
せ
らるるなり。
19
然
さ
れば
我
われ
ら
平󠄃和
へいわ
のことと
互
たがひ
に
德
とく
を
建
た
つる
事
こと
とを
追󠄃
おひ
求
もと
むべし。
20
なんぢ
食󠄃物
しょくもつ
のために
神
かみ
の
御業
みわざ
を
毀
こぼ
つな。
凡
すべ
ての
物
もの
は
潔󠄄
きよ
し、されど
之
これ
を
食󠄃
くら
ひて
人
ひと
を
躓
つまづ
かする
者
もの
には
惡
あく
とならん。
21
肉
にく
を
食󠄃
くら
はず、
葡萄酒
ぶだうしゅ
を
飮
の
まず、その
他
ほか
なんぢの
兄弟
きゃうだい
を
躓
つまづ
かする
事
こと
をせぬは
善
よ
し。
22
なんぢの
有
も
てる
信仰
しんかう
を
己
おのれ
みづから
神
かみ
の
前󠄃
まへ
に
保
たも
て。
善
よ
しとする
所󠄃
ところ
につきて
自
みづか
ら
咎
とがめ
なき
者
もの
は
幸福
さいはひ
なり。
23
疑
うたが
ひつつ
食󠄃
くら
ふ
者
もの
は
罪
つみ
せらる。これ
信仰
しんかう
によらぬ
故
ゆゑ
なり、
凡
すべ
て
信仰
しんかう
によらぬ
事
こと
は
罪
つみ
なり。
第15章
1
われら
强
つよ
き
者
もの
はおのれを
喜
よろこ
ばせずして、
力
ちから
なき
者
もの
の
弱󠄃
よわき
を
負󠄅
お
ふべし。
2
おのおの
隣
となり
人
ひと
の
德
とく
を
建
た
てん
爲
ため
に、その
益
えき
を
圖
はか
りて、
之
これ
を
喜
よろこ
ばすべし。
3
キリストだに
己
おのれ
を
喜
よろこ
ばせ
給
たま
はざりき。
錄
しる
して『なんぢを
謗
そし
る
者
もの
の
謗
そしり
は
我
われ
に
及
およ
べり』とあるが
如
ごと
し。
326㌻
4
夙
はや
くより
錄
しる
されたる
所󠄃
ところ
は、みな
我
われ
らの
敎訓
をしへ
のために
錄
しる
ししものにして
聖󠄄書
せいしょ
の
忍󠄄耐
にんたい
と
慰安
なぐさめ
とによりて
希望󠄇
のぞみ
を
保
たも
たせんとてなり。
5
願
ねがは
くは
忍󠄄耐
にんたい
と
慰安
なぐさめ
との
神
かみ
、なんぢらをしてキリスト・イエスに
效
なら
ひ、
互
たがひ
に
思
おもひ
を
同
おな
じうせしめ
給
たま
はん
事
こと
を。
〘237㌻〙
6
これ
汝
なんぢ
らが
心
こゝろ
を
一
ひと
つにし
口
くち
を
一
ひと
つにして
我
われ
らの
主
しゅ
イエス・キリストの
父󠄃
ちち
なる
神
かみ
を
崇
あが
めん
爲
ため
なり。
7
此
こ
の
故
ゆゑ
にキリスト
汝
なんぢ
らを
容
い
れ
給
たま
ひしごとく、
汝
なんぢ
らも
互
たがひ
に
相
あひ
容
い
れて
神
かみ
の
榮光
えいくわう
を
彰
あらは
すべし。
8
われ
言
い
ふ、キリストは
神
かみ
の
眞理
まこと
のために
割󠄅禮
かつれい
の
役者
えきしゃ
となり
給
たま
へり。これ
先祖
せんぞ
たちの
蒙
かうむ
りし
約束
やくそく
を
堅
かた
うし
給
たま
はん
爲
ため
、
9
また
異邦人
いはうじん
も
憐憫
あはれみ
によりて
神
かみ
を
崇
あが
めんためなり。
錄
しる
して 『この
故
ゆゑ
に、われ
異邦人
いはうじん
の
中
うち
にて
汝
なんぢ
を
讃
ほ
めたたへ、
又󠄂
また
なんぢの
名
な
を
謳
うた
はん』とあるが
如
ごと
し。
10
また
曰
いは
く 『
異邦人
いはうじん
よ、
主
しゅ
の
民
たみ
とともに
喜
よろこ
べ』
11
又󠄂
また
いはく 『もろもろの
國人
くにびと
よ、
主
しゅ
を
讃
ほ
め
奉
まつ
れ、 もろもろの
民
たみ
よ、
主
しゅ
を
稱
たゝ
へ
奉
まつ
れ』
12
又󠄂
また
イザヤ
言
い
ふ 『エツサイの
萌薛
ひこばえ
生
しゃう
じ、
異邦人
いはうじん
を
治
をさ
むる
者
もの
、
興
おこ
らん。
異邦人
いはうじん
は
彼
かれ
に
望󠄇
のぞみ
をおかん』
13
願
ねがは
くは
希望󠄇
のぞみ
の
神
かみ
、
信仰
しんかう
より
出
い
づる
凡
すべ
ての
喜悅
よろこび
と
平󠄃安
へいあん
とを
汝
なんぢ
らに
滿
み
たしめ、
聖󠄄
せい
靈
れい
の
能力
ちから
によりて
希望󠄇
のぞみ
を
豐
ゆたか
ならしめ
給
たま
はんことを。
14
わが
兄弟
きゃうだい
よ、われは
汝
なんぢ
らが
自
みづか
ら
善
ぜん
に
滿
み
ち、もろもろの
知識
ちしき
に
滿
み
ちて
互
たがひ
に
訓戒
くんかい
し
得
う
ることを
確
かた
く
信
しん
ず。
15
然
さ
れど
我
われ
なほ
汝
なんぢ
らに
憶
おも
ひ
出
いだ
させん
爲
ため
に、ここかしこ
少
すこ
しく
憚
はゞか
らずして
書
か
きたる
所󠄃
ところ
あり、これ
神
かみ
の
我
われ
に
賜
たま
ひたる
恩惠
めぐみ
に
因
よ
る。
16
即
すなは
ち
異邦人
いはうじん
のためにキリスト・イエスの
仕人
つかへびと
となり、
神
かみ
の
福音󠄃
ふくいん
につきて
祭司
さいし
の
職
つとめ
をなす。これ
異邦人
いはうじん
の
聖󠄄
せい
靈
れい
によりて
潔󠄄
きよ
められ、
御心
みこゝろ
に
適󠄄
かな
ふ
獻物
さゝげもの
とならん
爲
ため
なり。
17
然
さ
れば、われ
神
かみ
の
事
こと
につきては、キリスト・イエスによりて
誇
ほこ
る
所󠄃
ところ
あり。
327㌻
18
我
われ
はキリストの
異邦人
いはうじん
を
服󠄃
したが
はせん
爲
ため
に
我
われ
を
用
もち
ひて
言
ことば
と
業
わざ
と、
19
また
徴
しるし
と
不思議
ふしぎ
との
能力
ちから
、および
聖󠄄
せい
靈
れい
の
能力
ちから
にて
働
はたら
き
給
たま
ひし
事
こと
のほかは
敢
あへ
て
語
かた
らず、エルサレムよりイルリコの
地方
ちはう
に
到
いた
るまで
徧
あまね
くキリストの
福音󠄃
ふくいん
を
充
み
たせり。
20
我
われ
は
努
つと
めて
他人
たにん
の
置
す
ゑたる
基礎
もとい
のうへに
建
た
てじとて
未
いま
だキリストの
御名
みな
の
稱
とな
へられぬ
所󠄃
ところ
にのみ
福音󠄃
ふくいん
を
宣傅
のべつた
へたり。
21
錄
しる
して 『
未
いま
だ
彼
かれ
のことを
傳
つた
へられざりし
者
もの
は
見
み
、 いまだ
聞
き
かざりし
者
もの
は
悟
さと
るべし』とあるが
如
ごと
し。
〘238㌻〙
22
この
故
ゆゑ
に、われ
汝
なんぢ
らに
徃
ゆ
かんと
爲
せ
しが、しばしば
妨
さまた
げられたり。
23
然
さ
れど
今
いま
は
此
こ
の
地方
ちはう
に
働
はたら
くべき
處
ところ
なく、
且
かつ
なんぢらに
徃
ゆ
かんことを
多年
たねん
、
切
せつ
に
望󠄇
のぞ
みゐたれば、
24
イスパニヤに
赴
おもむ
かんとき
立寄
たちよ
りて
汝
なんぢ
らを
見
み
、ほぼ
意󠄃
こゝろ
に
滿
み
つるを
得
え
てのち
汝
なんぢ
らに
送󠄃
おく
られんとを
望󠄇
のぞ
むなり。
25
されど
今
いま
、
聖󠄄徒
せいと
に
事
つか
へん
爲
ため
にエルサレムに
徃
ゆ
かんとす。
26
マケドニアとアカヤとの
人々
ひとびと
はエルサレムに
在
あ
る
聖󠄄徒
せいと
の
貧󠄃
まづ
しき
者
もの
に
幾許
いくばく
かの
施與
ほどこし
をするを
善
よ
しとせり。
27
實
げ
に
之
これ
を
善
よ
しとせり、また
聖󠄄徒
せいと
に
對
たい
して
斯
かく
する
負󠄅債
おひめ
あり。
異邦人
いはうじん
もし
彼
かれ
らの
靈
れい
の
物
もの
に
與
あづか
りたらんには、
肉
にく
の
物
もの
をもて
彼
かれ
らに
事
つか
ふべきなり。
28
されば
此
こ
の
事
こと
を
成
な
し
了
を
へ、この
果
み
を
付
わた
してのち、
汝
なんぢ
らを
歷
へ
てイスパニヤに
徃
ゆ
かん。
29
われ
汝
なんぢ
らに
到
いた
るときは、キリストの
滿
み
ち
足
た
れる
祝福
しくふく
をもて
到
いた
らんことを
知
し
る。
30
兄弟
きゃうだい
よ、
我
われ
らの
主
しゅ
イエス・キリストにより、また
御靈
みたま
の
愛
あい
によりて
汝
なんぢ
らに
勸
すゝ
む、なんぢらの
祈
いのり
のうちに、
我
われ
とともに
力
ちから
を
盡
つく
して
我
わ
がために
神
かみ
に
祈
いの
れ。
31
これユダヤにをる
從
したが
はぬ
者
もの
の
中
うち
より
我
わ
が
救
すく
はれ、
又󠄂
また
エルサレムに
對
たい
する
我
わ
が
務
つとめ
の
聖󠄄徒
せいと
の
心
こゝろ
に
適󠄄
かな
ひ、
328㌻
32
かつ
神
かみ
の
御意󠄃
みこゝろ
により、
歡喜
よろこび
をもて
汝
なんぢ
等
ら
にいたり、
共
とも
に
安
やす
んぜん
爲
ため
なり。
33
願
ねがは
くは
平󠄃和
へいわ
の
神
かみ
なんぢら
衆
すべて
と
偕
とも
に
在
いま
さんことを、アァメン。
第16章
1
我
われ
ケンクレヤの
敎會
けうくわい
の
執事
しつじ
なる
我
われ
らの
姉妹
しまい
フィベを
汝
なんぢ
らに
薦
すゝ
む。
2
なんぢら
主
しゅ
に
在
あ
りて
聖󠄄徒
せいと
たるに
相應
ふさは
しく、
彼
かれ
を
容
い
れ、
何
なに
にても
其
そ
の
要󠄃
えう
する
所󠄃
ところ
を
助
たす
けよ、
彼
かれ
は
夙
はや
くより
多
おほ
くの
人
ひと
の
保護者
ほごしゃ
また
我
わ
が
保護者
ほごしゃ
たり。
3
プリスカとアクラとに
安否
あんぴ
を
問
と
へ、
彼
かれ
らはキリスト・イエスに
在
あ
る
我
わ
が
同勞者
どうらうしゃ
にして、
4
わが
生命
いのち
のために
己
おのれ
の
首
くび
をも
惜
をし
まざりき。
彼
かれ
らに
感謝
かんしゃ
するは、ただ
我
われ
のみならず、
異邦人
いはうじん
の
諸
しょ
敎會
けうくわい
もまた
然
しか
り。
5
又󠄂
また
その
家
いへ
にある
敎會
けうくわい
にも
安否
あんぴ
を
問
と
へ。
又󠄂
また
わが
愛
あい
するエパネトに
安否
あんぴ
を
問
と
へ。
彼
かれ
はアジヤにて
結
むす
べるキリストの
初
はじめ
の
實
み
なり。
6
汝
なんぢ
等
ら
のために
甚
いた
く
勞
らう
せしマリヤに
安否
あんぴ
を
問
と
へ。
7
我
われ
とともに
囚人
めしうど
たりし
我
わ
が
同族
どうぞく
アンデロニコとユニアスとに
安否
あんぴ
を
問
と
へ、
彼
かれ
らは
使徒
しと
たちの
中
うち
に
名聲
きこえ
あり、かつ
我
われ
に
先
さき
だちてキリストに
歸
き
せし
者
もの
なり。
8
主
しゅ
にありて
我
わ
が
愛
あい
するアンプリヤに
安否
あんぴ
を
問
と
へ。
9
キリストにある
我
われ
らの
同勞者
どうらうしゃ
ウルパノと
我
わ
が
愛
あい
するスタキスとに
安否
あんぴ
を
問
と
へ。
10
キリストに
在
あ
りて
鍊達󠄃
れんたつ
せるアペレに
安否
あんぴ
を
問
と
へ。アリストブロの
家
いへ
の
者
もの
に
安否
あんぴ
を
問
と
へ。
〘239㌻〙
11
わが
同族
どうぞく
ヘロデオンに
安否
あんぴ
を
問
と
へ。ナルキソの
家
いへ
なる
主
しゅ
に
在
あ
る
者
もの
に
安否
あんぴ
を
問
と
へ。
12
主
しゅ
に
在
あ
りて
勞
らう
せしツルパナとツルポサとに
安否
あんぴ
を
問
と
へ。
主
しゅ
に
在
あ
りて
甚
いた
く
勞
らう
せし
愛
あい
するペルシスに
安否
あんぴ
を
問
と
へ。
13
主
しゅ
に
在
あ
りて
選󠄄
えら
ばれたるルポスと
其
そ
の
母
はゝ
とに
安否
あんぴ
を
問
と
へ、
彼
かれ
の
母
はは
は
我
われ
にもまた
母
はは
なり。
14
アスンクリト、フレゴン、ヘルメス、パトロバ、ヘルマス
及
およ
び
彼
かれ
らと
偕
とも
に
在
あ
る
兄弟
きゃうだい
たちに
安否
あんぴ
を
問
と
へ。
329㌻
15
ピロロゴ
及
およ
びユリヤ、ネレオ
及
およ
びその
姉妹
しまい
、またオルンパ
及
およ
び
彼
かれ
らと
偕
とも
に
在
あ
る
凡
すべ
ての
聖󠄄徒
せいと
に
安否
あんぴ
を
問
と
へ。
16
潔󠄄
きよ
き
接吻
くちつけ
をもて
互
たがひ
に
安否
あんぴ
を
問
と
へ。キリストの
諸
しょ
敎會
けうくわい
みな
汝
なんぢ
らに
安否
あんぴ
を
問
と
ふ。
17
兄弟
きゃうだい
よ、われ
汝
なんぢ
らに
勸
すゝ
む、おほよそ
汝
なんぢ
らの
學
まな
びし
敎
をしへ
に
背
そむ
きて
分󠄃離
ぶんり
を
生
しゃう
じ、
顚躓
つまづき
をおこす
者
もの
に
心
こゝろ
して
之
これ
に
遠󠄄
とほざ
かれ。
18
斯
かゝ
る
者
もの
は
我
われ
らの
主
しゅ
キリストに
事
つか
へず、
反
かへ
つて
己
おの
が
腹
はら
に
事
つか
へ、また
甘
あま
き
言
ことば
と
媚諂
こびへつらひ
とをもて
質朴
しつぼく
なる
人
ひと
の
心
こゝろ
を
欺
あざむ
くなり。
19
汝
なんぢ
らの
從順
じゅうじゅん
は
凡
すべ
ての
人
ひと
に
聞
きこ
えたれば、
我
われ
なんぢらの
爲
ため
に
喜
よろこ
べり。
而
しか
して
我
わ
が
欲
ほっ
する
所󠄃
ところ
は
汝
なんぢ
らが
善
ぜん
に
智
かしこ
く、
惡
あく
に
疏
うと
からんことなり。
20
平󠄃和
へいわ
の
神
かみ
は
速󠄃
すみや
かにサタンを
汝
なんぢ
らの
足
あし
の
下
した
に
碎
くだ
き
給
たま
ふべし。
願
ねがは
くは
我
われ
らの
主
しゅ
イエスの
恩惠
めぐみ
、なんぢらと
偕
とも
に
在
あ
らんことを。
21
わが
同勞者
どうらうしゃ
テモテ
及
およ
び
我
わ
が
同族
どうぞく
ルキオ、ヤソン、ソシパテロ
汝
なんぢ
らに
安否
あんぴ
を
問
と
ふ。
22
この
書
ふみ
を
書
か
ける
我
われ
テルテオも
主
しゅ
にありて
汝
なんぢ
らに
安否
あんぴ
を
問
と
ふ。
23
我
われ
と
全󠄃
ぜん
敎會
けうくわい
との
家主
いへあるじ
ガイオ
汝
なんぢ
らに
安否
あんぴ
を
問
と
ふ。
町
まち
の
庫司
くらづかさ
エラストと
兄弟
きゃうだい
クワルトと
汝
なんぢ
らに
安否
あんぴ
を
問
と
ふ。
24
[なし]《[*]》[*異本二四節に「願くは我らの主イエス・キリストの恩惠汝等すべてと偕にあらん事をアァメン」とありて、二〇節に同義の句を缺く。]
25
願
ねがは
くは
長
なが
き
世
よ
のあひだ
隱
かく
れたれども、
26
今
いま
顯
あらは
れて、
永遠󠄄
とこしへ
の
神
かみ
の
命
めい
にしたがひ、
預言者
よげんしゃ
たちの
書
ふみ
によりて
信仰
しんかう
の
從順
じゅうじゅん
を
得
え
しめん
爲
ため
に、もろもろの
國人
くにびと
に
示
しめ
されたる
奧義
おくぎ
の
默示
もくし
に
循
したが
へる
我
わ
が
福音󠄃
ふくいん
と、イエス・キリストを
宣
の
ぶる
事
こと
とによりて、
汝
なんぢ
らを
堅
かた
うし
得
う
る、
27
唯一
ゆゐいつ
の
智
かしこ
き
神
かみ
に
榮光
えいくわう
、
世々
よよ
限
かぎ
りなくイエス・キリストに
由
よ
りて
在
あ
らんことを、アァメン。
〘240㌻〙
330㌻